中央区の通りを歩く 第19回隅田川テラス(前編)


隅田川テラスのところどころには案内図が設置されています


前編で出会った草花たち

隅田川テラスは、隅田川とその周囲の景色を眺めながら、隅田川沿いを歩ける遊歩道。憩いの場として、また散歩やジョギングのコースとして、多くの人たちに親しまれています。

川からの風が心地よく、花壇に咲く色とりどりの草花が目を楽しませるテラスは、夏の散策にぴったりの場所。そこで、今回はこれまで歩いてきた一般の道路から少し離れ、中央区内の隅田川テラスを歩きます。第19回の前編は、台東区、墨田区との区界、両国橋付近からスタート。東日本橋、日本橋浜町、日本橋中洲、日本橋箱崎町、新川周辺のテラスを通り、隅田川沿いを南下します。



両国橋周辺の隅田川テラス

1 両国橋周辺

隅田川テラスを歩き始める前に、両国橋の橋上へ。橋の中央には、近くにある両国国技館にちなみ、土俵をモチーフにしたバルコニーがありました。また、江戸中期の1730年代(享保年間)に始まったとされる両国の花火(現・隅田川花火大会)にちなみ、橋の欄干には打ち上がった花火の形がデザインされています。


土俵をモチーフにした両国橋のバルコニー


花火がデザインされた両国橋の欄干

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おもしろ発見 その1【かんざしに栄華を偲ぶ柳橋】


欄干にデザインされたかんざし

両国橋から隅田川上流を眺めると、神田川にかかる最初の橋、柳橋が見えました。早速足を伸ばし、橋の前に来てみると、橋の欄干にいくつものかんざしがあしらわれていることに気づきました。これは、かつて柳橋界隈に数多くいた芸者衆のかんざしにちなんだもの。平成3年に橋の親柱を復元した際に、合わせて飾られました。
柳橋は1698(元禄11)年に木橋として創架され、橋周辺は江戸中期の頃から、料亭や船宿が建ち並ぶ花街として大変賑わったそうです。その後、同橋は明治20年に鉄橋になるも関東大震災で損壊。昭和4年に現在の橋に架け替えられました。 現在の橋周辺は人通りもわずかな静かな場所。欄干のかんざしに往時の華やかさを偲びながら、柳橋を後にしました。


柳橋


橋の袂には橋の歴史が記された記念碑があります

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両国橋ジャンクション

2 日本橋浜町周辺

日本橋浜町周辺に近づくと、首都高速7号小松川線と6号向島線の分岐点となる両国橋ジャンクションが頭上に、墨田区へ流れる竪川の水門が対岸に、それぞれ現れます。また、テラス内には隅田川を行き来する水上バス、東京水辺ラインの浜町発着場がありました。


墨田区へと流れる竪川の水門


水上バスの浜町発着場

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隅田川テラスから新大橋を見上げる

3 新大橋周辺

新大橋周辺の隅田川テラスは、頭上に首都高速が走っており、日陰があってとても涼しいのが特徴。新大橋の下をくぐり抜け、日本橋中洲沿いにくると、高速道路が離れ、一気に視界が開けて明るくなります(新大橋の歴史などについては第14回新大橋通り後編をご覧ください)。(第14回へジャンプ


新大橋周辺の隅田川テラス


日本橋中洲沿いの隅田川テラス

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清洲橋

4 清洲橋周辺

堤防側に緑の植栽、隅田川側に花壇が続く清洲橋周辺の隅田川テラス。ところどころに休憩所も設けられています。珍しく花の植えられていない花壇があったので近づいてみると、たくさんの小鳥たちが羽を休めていましした(清洲橋の歴史などについては第18回清洲橋通り後編をご覧ください)。(第18回へジャンプ


花と緑が続く清洲橋周辺


たくさんの小鳥が休憩中

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隅田川大橋

5 隅田川大橋周辺

隅田川大橋周辺は、橋の手前に車両が通れるほどの幅の広いスロープがあるのが特徴。実際取材中に整備用の軽トラックが進入してきました。隅田川大橋の下をくぐると、テラスは日本橋川によって途切れるため、日本橋川に架かる豊海橋を渡って、次の永代橋を目指します(隅田川大橋周辺のまちなみについては第10回人形町・水天宮通り後編をご覧ください)。(第10回へジャンプ


隅田川大橋周辺には地元有志の方たちによる花壇が並びます



整備用の車両も通れるスロープ

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隅田川テラスから永代橋を見上げる

6 永代橋周辺

新川一、二丁目沿いに来ると、隅田川テラスの幅が急に広くなります。川側からまち側へ緩やかな傾斜が続き、これまでのような堤防の壁が見当たりません。これは、大地震や洪水などに対する安全性をより高め、水辺に親しめる環境が再生されるよう、堤防土台の強化やコンクリートの堤防壁の切断、盛土や修景などを行って設けられた緩傾斜型の堤防。このうち、特に大規模なものが「スーパー堤防」と呼ばれています。こうした堤防をつくるには広い土地が必要となるため、隅田川沿いでは再開発などまちづくりと一体となった整備が進められています(永代橋周辺のまちなみについては第16回鍛冶橋通り後編をご覧ください)。(第16回へジャンプ


幅の広い緩傾斜型の隅田川テラス


斜面の上には歩道と車道が整備

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おもしろ発見 その2【旧・両国橋の歴史、今もなお】


南高橋。橋下には亀島川が流れています

取材前に隅田川に架かる橋について調べていたら、偶然にもおもしろい事実を発見! そこで駆けつけたのが、この南高橋。なんと! 南高橋のトラス部分は、明治37年に架設された一代前の旧・両国橋から移築されたものなんです。 当時の両国橋は三連トラスの鉄橋でしたが、関東大震災で損壊。現橋に架け替えざるを得なくなったものの、破損の少なかった中央のトラス部分を再利用して、昭和7年、南高橋が創架されたのでした。



旧・両国橋から移築されたトラス部分


橋灯の上には宮殿のような
ユニークなデザインが見られます

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