中央区の矢田区長は、2月26日、東京都の石原知事に「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策に係る築地市場移転問題に関する要望」を提出した。これに対し石原知事は3月6日、その「回答」をしてきた。区長の質問は、土壌汚染、築地市場用地の扱い、場外市場の問題、交通アクセス、移転までの現市場の整備の5項目となっている。知事は回答で、土壌汚染についてすでにまとめた汚染対策の周知を図るにとどまっている。交通アクセスでは市場移転の日程が遅れるにもかかわらず環状2号線の27年度完成を目指すとした。区長は3項目目に場外市場について質問要望しているのに全く言及しなかった。質問と回答は次のとおり。
環2完成27年と再確認
土壌汚染の問題
＜要望1＞生鮮食品を取り扱う市場においては、科学的見地から食の安全・安心及び人の健康被害の防止の確保が図られることが何よりも重要であり、その取組について広く都民に理解され、信頼を得られることが不可欠である。そのため、高度で専門的な事項にわたる土壌汚染対策の内容について、すべて明らかにし、本区をはじめ市場関係者や広く都民に対し必要な説明を行い、理解を得ること。
＜回答＞豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、専門家会議から食の安全・安心が十分確保できるとする対策が出され、この対策を確実に実施し、高いレベルで安全・安心を確保するとした技術会議の提言に基づき、都の土壌汚染対策を取りまとめたところである。
土壌汚染対策について都民等に安心してもらうため、情報を共有することが重要であり、調査結果や会議録・資料等について、順次、公表している。また、都民に対し、土壌汚染対策を含め豊洲市場整備について、ホームページやわかりやすいパンフレット、広報紙等を通じて周知するとともに、関係区や市場業者に対し十分な説明を行い、周知を図っていく。
市場用地の扱い
＜要望2＞移転方針のもとで売却するとしている築地市場用地について、土地利用計画が明らかになっていない。そのため、用地の扱いについて地元区として大変懸念されることから、地域の将来像を踏まえた具体的な土地利用計画を都はどのように考えているのか明らかにすること。また本区と事前に協議を行い、市場関係者、地域住民等の意見を聴くとともに、幅広い議論を通じ英知を集め、都心に残された貴重な用地としてふさわしい活用がなされるよう十分に配慮すること。
場外市場の問題
＜要望3＞これまで場外市場は築地市場とともに一体となって、「築地ブランド」を守り育ててきた。「築地ブランド」は、今や、その名が世界にとどろき、日本屈指の観光スポットとなっている。日本の財産である「築地ブランド」を守り、店舗数が350にのぼる場外市場を活気とにぎわいのあるまちとして発展させていくために、築地市場地区のまちづくりを都はどのように考えているのか明らかにすること。
＜回答＞築地市場及びその周辺地域は、高い開発ポテンシャルとともに快適な水辺空間や豊かな緑の環境を有しており、こうした立地特性を生かしたまちづくりが求められている。築地市場の跡地利用については、都市全体の貴重な財産として東京のまちづくりに貢献するよう、地元中央区や関係機関の意見を聞きながら、都として慎重に検討していく。
交通アクセス
＜要望4＞環状第2号線については、これまで豊洲市場の開場する平成24年度時点での暫定開通、平成27年度までに供用開始するとしていた。しかし、開場時期の延期により、整備スケジュールや築地市場の営業に影響を与えることが考えられる。そこで、改めて使用開始までのスケジュールについて示し、築地市場の営業に支障をきたさぬよう環状第2号線の整備を図ること
＜回答＞築地市場内の環状2号線については、平成27年度の完成に向け市場建設の機能確保や施工方法について調整を図り、営業への影響をできる限り抑えながら整備を進めていく。
現市場の整備
＜要望5＞豊洲新市場の開場時期が延期したことを踏まえ、都民の台所として現在の機能を維持するための現市場の老朽化対策、安全対策、衛生対策等の計画について都はどのように考えているのか明らかにすること。
＜回答＞築地市場においては、移転までの間、生鮮食料品を安定的に供給する機能の維持に努め必要な施設の改修などの対応を行っていく。 |
