疑問解消BOOKから
築地市場の移転先としている豊洲の土壌汚染は食の安心安全に関わる問題として論議をよんでいる。東京都はこのほど明かにした「築地市場の移転整備 疑問解消BOOK」において、土壌汚染対策の内容を次のようにまとめている。
土壌汚染対策 ガス工場操業時の地面の下2メートルを掘り、きれいな土壌と入れ替える▽その上に厚さ2.5メートルのきれいな土壌を盛る▽ガス工場操業時の地面の下2メートルより下の土壌から、環境基準を超える操業に由来する汚染物質を取り除く。
地下水汚染対策 建物建設地は、建設後にあらためて対策を行うことが困難であるため、建設前に環境基準以下にする▽建物建設地以外は排水基準(※)以下にし、将来的に環境基準以下にすることを目指す。※排水基準=揚水した際に処理を行うことなく、下水に放流できる濃度レベル(環境基準の10倍)▽地下水の管理を行い、地下水を一定に保つ。
地下水管理の内容 遮水壁で地下水の移動を防止する▽砕石層でも細管現象による地下水上昇を舗装などで雨水浸透による地下水上昇を防止する▽観測井戸で地下水位・水質を監視し、水位が上昇した場合は、地下水をポンプでくみ上げ、処理施設で処理後、公共下水道に放流する。
専門家会議は、「このほか、都・市場業者及び学識経験者からなる協議会を設置して、情報を共有のうえ、安全性を確認していくこと」を提言している。
不透水層管理 数千年を超える長い年月をかけて堆積した地層の成り立ちを考えれば、不透水層が不連続もしくは存在しない可能性は低いが、今後の調査で絞込調査441地点のうち不透水層が確認できない2地点の周囲をさらに詳しく調査し、確認を行う。
底面管理 不透水層付近まで汚染が達している場合は、対策工事の際、深さ方向に1メートル単位で汚染土壌を掘削除去、直下2メートルまで汚染がないことを確認する底面管理を行う▽底面管理により、汚染物質を全て除去し、地下水も浄化したうえで、掘削除去した不透水層に相当する部分については人工的に不透水層を形成し、修復する。
<不透水層=地下水を通しにくい地層のことで新市場予定地の場合「有楽町層」と呼ばれる地層の最上部にある粘性土層のことをいう。この粘性土層は、2〜20メートルの厚さで存在している> |