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■ 2月23日発行  このページの先頭へ
築地市場の疑問解消BOOK
「なぜ現在地で無理か」
 築地市場の豊洲移転を決定した東京都は、しかし移転先の土壌汚染が判明し、その対策で論議がおこり、再び移転反対の声が強くなってきた。こうした中、都はこのほど築地市場の移転整備についての「疑問解消BOOK なぜ移転が必要なのか?」と題する文書を発行した。市場の歴史、問題点、再整備論議から土壌汚染対策に至るまで都の考え方をQアンドA方式でまとめている。

市場の課題3
 70年以上の歴史を経た築地市場がかかえている課題は次の3点。
 (1)施設が狭隘・過密化=駐車場や荷さばき場所が不足し、渋帯により作業効率が低下するとともに、車両の接触事故も多発▽魚や野菜の加工(カット)などの新たな業務需要に応じた施設の拡張が困難
 (2)施設構造=鉄道輸送時代の施設構造で、大型トラックの搬入スペースが大幅に不足し、車両動線が錯綜▽老朽化が著しく、震災などの影響が懸念される
 (3)品質・衛生管理=高温・風雨の影響による害を受けやすく、温度管理も不十分▽荷置き場が不足し、商品を一時的に屋外に置かざるを得ない状況にある
 これらへの対応が遅れ築地市場は取扱数量が大きく減少、このまま続くと基幹市場として、都民の食生活を支える役割を果たせなくなる。

再整備の条件
 築地市場の再整備工事を行う場合、生鮮食料品の安定供給に支障を来たさないよう、営業をそのまま続けながら、工事を進めることになる。このためには、仮設建物の用地や作業スペースとして十分な種地の確保が必要となる。
 種地は売場や荷さばき場、駐車等が分断されないよう、場内または隣接地に必要で、その広さは現市場の約2割に当る4・5ヘクタール。
 場内には空地がほとんどないうえ、分散しており、種地として活用できない。また河川や道路等に囲まれ、隣接地にも、種地に該当する土地を見つけることはできない。
 取り扱い量は減少していても、駐車場や荷さばき場の不足から、場内や周辺道路の渋帯は解消されていない。正門、青果門付近に路上駐車しているトラック台数は平成10・14・17年調査においていずれも1日あたり400台前後にのぼる。

営業への影響
 再整備工事は20年以上の長期にわたるため、その間に市場の利便性が低下し、市場業者の営業活動にも深刻な影響が生じると懸念される。
 <出荷者>入場待ち時間の増加や荷降ろし場所の不足により、搬入にかかる時間や手間が増加し築地市場への出荷が敬遠されるおそれも。
 <買出人>買い回りの利便性低下や場内配送の遅延により、仕入れにかかる時間が増加し、買出しがしにくくなり、顧客の築地市場離れに。
 <市場業者>古くて狭い旧店舗と、衛生的で設備の整った広い新店舗とが、工事期間中に並存するため、長期にわたり店舗間で大きな営業面の格差が生じる。

アスベスト対策
 基準の厳格化により解体工事の際、アスベストが確認された施設はすべて飛散防止対策が必要。
 生鮮食品を扱う市場で営業を継続しながらの工事となり、より一層の安全面の配慮が求められるため工事が長期化。
 さらに3000平方メートル以上の敷地内において土地改変を行う場合に、条例の対象となり、建設工事着工前に土地利用履歴等の調査が必要となる。
 
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