今年は佃島・住吉神社の3年に1度の本祭り。月島地域あげての賑わいとなり、東京の名物行事だが、今年は趣が異なる。NHKの朝ドラがぎっかけで月島ブームがおきている。「瞳」を見た人が次々と月島を訪れ、もんじゃを食し、独特の風景を楽しんでいる。しかもドラマは佃まつりと同時進行というから、祭りの人出は測り知れないと、地元でもっぱらの噂になっている。
今月6日、佃堀の地下に埋められていた大幟の柱が掘り出され、27日には建立される。
八角神輿
住吉神社の宮神輿は、その形が八角型であるところから「八角みこし」と呼ばれている。天保年間の作といわれ、平成天皇の即位式で国民の目にふれた御座が八角の屋形に据えられたことから作られたもの。大正天皇御即位の再には二重橋まで担がれた。
この宮神輿が神社から勝どきの御旅所まで渡御し、1泊して、また翌日佃島に戻る。真夏ということもあって、沿道から水がまかれ、大変なにぎわいとなる。
佃島1丁目には宮元みこしという大きな神輿がある。重さ百貫といわれるもので、昭和30年代、人形町で当時の明治座社長新田新作氏によって造られたものの、人口減で担ぎ切れないというので佃島に引き取られた因縁の作品。
獅子と竜虎
佃の祭りは獅子祭とも呼ばれる。祭の初日、神社の境内では、獅子面めがけてとびつく若衆のもみあいで騒然となる。昔から獅子頭の鼻づらにふれると縁起がよいといういわれによるもの。
佃には六対の獅子頭のほかに「竜虎の頭」がある。江戸の昔から伝わるもの。伝聞では「昔、この竜虎の頭の納めてあった蔵が落雷のため、火災を起こしたとき、竜頭は水を吹き、虎頭は砂を吐いて忽ち火を消してしまった」「他の1組、黒獅子の頭は、ある時その塗りの良否をためすため渋釜の熱湯に漬けられたが、少しも塗りは剥げることなく、漆黒を保ち、いかに塗りのよいかを示した」と伝えられている。
佃島が震災や戦災にも免れてるのは獅子頭のおかげだという。
船渡御
昭和37年の大祭を最後に消えた船渡御が28年ぶりに平成2年、復活。その時の模様を祭りの記録は次のように伝えている「佃ばやしを先頭に船渡御の出発だ。皆さん行ってまいります。ハンドマイクから講元が告げると、人、人、人で埋まったスーパーの堤防からいっせいに拍手がおこった。色とりどりの吹流しが風に舞った」
佃ならではの名物行事は、このあとも引き継がれていく。
≪佃住吉講の大祭スケジュール≫
8月1日(金)
10:00大幟旗一斉揚げる
11:00大祭式
14:45大神輿清祓い
18:30手打ち式(佃住吉講・総代会・奉替会・連合睦会)
8月2日(土)
9:00獅子頭清祓い
10:30獅子頭宮出し 2部・3部・1部の順
11:30獅子頭・各町神輿連合渡 佃1丁目出発
15:00佃1丁目帰着後町内巡行のち納める
20:00宮神輿霊祓し
8月3日(日)
5:45出社祭
6:00宮神輿宮出し、船渡御(7時頃出船)
6:40海上祭パーティ佃公園側テラス
12:40宮神輿御旅所へ渡御
14:20御旅所到着
8月4日(月)
15:00大神輿各部合併にて担ぎ所町内巡行
17:00神輿御仮屋に納める
18:50住吉講本部集合
19:20宮神輿佃2丁目まで出迎え神社に納める
住吉神社写真集
住吉神社が発刊
住吉神社がこのほど、神社が持っている古い資料・写真をまとめ写真集を発刊した。またPRポスターも注目を集めている。平岡好明宮司は「はじめに」で次のように記しているこの地域に古くから住む人は、昔の佃・祭りの風景を懐かしく思い出されると思いますし、この地域を新たな住まいとして選んだ人も地域が育む信仰と伝統の重みに触れ、親しみを更に深められることと思います。
写真で祭りや歴史を訪ねるだけでなく、神社の縁起や神輿・獅子頭のいわれを神社ならではの格式ある文体で紹介していて重さを感じさせる。
編集は権禰宜の柴田良一氏が担当。おわりに、で次のように指摘している10年後も百年後も八角神輿が賑やかに巡幸し、6本の幟が悠然と翻る祭りであり続けるためにも、私たちは今一度神社と地域が歩んだ歴史を顧み、先人の偉徳に思いを致す必要があると思うのです。
表紙には黒字に白抜きの6本の幟をデザインしている。神社で2,500円で販売。
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