中央区はこのほど「環境行動計画」を定めた。平成12年3月に「環境保全行動計画」を策定してから8年。この間、地球環境をめぐる状況は大きく変化し、地球温暖化は人類にとって「今、そこにある危機」と認知されるようになった。一方、区内では人口の急増と再開発の進展で新たな賑わいが創出される反面、エネルギー消費量の増大によるヒートアイランド現象など環境問題が顕在化している。こうした中、区民や事業者の環境意識が高まるものの、必ずしも実際の行動に結びついていない。そこで、家庭や建物の省エネルギー化、ごみの発生抑制を推進するとともに、区民、事業者との協力を進め、国や都などと連携して水質改善や森林保全を推進する行動計画を定めた。重点プロジェクトと実現への仕組みをまとめた。
「森とみどりの基金」活用
CO2の削減 中央区の平成16年度のCO2排出量は、平成2年度比で業務部門が14.0%、家庭部門が29.4%と大きく増加している。CO2排出量を着実に削減するためには、省エネルギー・省資源に取り組みやすい仕組みをつくり事業所や家庭へ積極的に普及していくことが必要である。
また、区内には、高度に業務され、活発な事業活動によりCO2を大量に排出しているが、森林もなく緑地も少ないため、CO2の吸収がほとんどない状況だ。このため、区の区域を越えて、他の自治体と連携し、広域的な環境活動に取り組むことが必要。
<事業所向け>特に中小規模の事業者が取り組みやすいシステムを作成し、運用を支援。(運用開始=21年度、システムの認証=530社)
<家庭向け>子どもでも取り組めるシステムを作成し、普及する。(運用開始=21年度、システム参加=600世帯)
<新築改修建物>事業者に「環境計画書」の提出の義務付けを検討。
<中央区の森>東京都西多摩郡檜原村で森林保全活動を支援し、CO2の吸収源として重要な役割を担っている森林を守り、育てる。また、「中央区の森」を活用して区民、事業者の環境意識の普及、啓発を図る。事業面積3.5ヘクタールを33.5ヘクタールに到達。
まちがさわやか ヒートアイランド現象は、建物や自動車等の排熱、道路への蓄熱等が原因となって発生する。
そこで、都市施設や都市構造に様々な技術を導入し、「さわやかなまち」をめざす。
<緑化推進>区内の空地、公共施設の屋上や壁面の緑花、芝生化などを積極的に推進。(屋上緑化20施設を31施設に)
<緑化助成>区民・事業者の屋上緑化・壁面緑化等に対する助成を推進する。
<風の道づくり>(八重洲通り、晴海通り、日本橋川)道路の緑化(街路樹の充実や中央分離帯の緑化を東京都と連携して推進する)▽護岸の緑化(日本橋川で推進)▽建築物の配置等の配慮(再開発等において、風の流れを遮断することのないように配慮する)▽高速道路の撤去(日本橋川上空に架かっている高速道路の撤去の可能性を検討する)
<遮熱性舗装道路>舗装路面の温度の上昇を抑制し、蓄熱量を低減するために遮熱性舗装を推進する。(整備面積7,590平方メートルを127,390平方メートルに)
<新築時の建物>環境計画書の提出を求め、排熱の少ない構造や機器の導入、屋上や壁面の断熱処理等を推進する。
環境区民会議
区内では、区民・事業者がそれぞれ環境活動を行なっている。こうした活動は連携することで、より大きな効果が期待できる。そこで、区民、事業者、NPO等に参加を呼びかけて、自主的、自発的な環境活動を促進する「環境区民会議」を20年度に設立する。
同会議は、区内の環境について調査をし、各種講座やイベントを開催、区へ環境施策の提案を行う。
当初は、自立して円滑な活動を推進するため区が支援する。
実現への仕組み <森とみどりの基金>中央区の環境施策を安定的に推進するため、現在設置している「中央区森とみどりの基金」に市街地開発事業指導要綱に基づく開発協力金の一部を積立てて、「中央区の森」や民間施設の緑化助成事業などの財源として活用する。
<環境計画推進委>計画を着実に推進するため、学識経験者や区民等で構成する「環境計画推進委員会」を設置する。事業の進行管理や評価をして、その結果を区民に公表する。さらに区から計画の推進状況の報告を受け、評価分析し、計画変更や提案をする。
中央区の森体験ツアー 地球温暖化を防止することを目的に昨年から始まった「中央区の森」で「森林保全作業の体験を通じて森林の大切さを感じてみよう」というイベントが、5月24日(土)に開催される。
対象は小学生5年生以上で、小学生には大人1名同伴。定員35名、申込多数の場合は抽せん。費用は、傷害保険加入料として200円(ただし小学生は無料)、昼食として弁当・水筒を持参。
服装は、長袖・長ズボン(作業時の服装として必携)、登山靴等厚底の靴。軍手等を持参。
集合は5月24日、区役所前に午前7時30分。解散は午後6時の予定。
5月9日まで電話3546-5406か区のホームページの電子申請で申込みを。 |