昨年7月に設立された「中央区文化振興懇談会」が3月17日、「中央区文化振興プラン」をまとめ区長に報告した。このプランは中央区における文化振興のグランドデザインを示すもの。座長をつとめた陣内秀信氏(郷土天文館館長)は「中央区全体をサロン、ミュージアム、ステージにしていくことを大きな目標に据え、未来につながる夢のあるプランとしてまとめた」としている。重点プロジェクトとして、中央区まるごとミュージアム、文化振興プロデュースチーム、区民フォーラム、文化振興プランの四項目を掲げて、その実現への手だても打ちだしている。これにもとづく今後の展開が注目される。委員は、明治座社長の三田芳裕氏(副座長)、大久保邦子さん、名誉区民の常盤津英寿氏(人間国宝)、女優の三田佳子さん、日本画家の小川幸治氏。
文化振興のグランドデザイン
重点的取組み
<中央区まるごとミュージアム>中央区は、名所・旧跡、画廊・美術館、水辺などさまざまな魅力に満ちあふれており、まち全体があたかもミュージアムであるかのよう。こうした中央区の文化的な魅力を広く区民が認識し発見できるよう、さまざまな文化事業等の開催や招致を行うとともに、バスや船等を使って区内を回遊しながら中央区のさまざまな文化に親しめる取組を行っていく。
<文化振興プロデュースチーム>アートプロデューサー等文化の専門家からなるプロデュースチームを設置し、中央区で行うべき文化事業の具体的な企画・立案を行い、区民の活動を支援するとともに、文化ボランティアの育成等を進める。
<区民フォーラム>中央区の区民をはじめ、企業、NPO、大学等から中央区の文化に関心を持つ人たちが幅広く集まる組織を設置し、中央区における文化振興の現状や今後について検討するとともに、具体的な取組を企画・運営していく。また、文化振興プロデュースチームが企画したり支援が必要と考える文化事業をサポートしたり、中央区の文化振興に関する評価を行う役割も考えられる。
<文化振興基金>文化事業を財政面から担保するため、文化振興基金を設置する。市街地の開発は、地域のコミュニティや文化に対して大きな影響を与えるものであることから、基金の原資として、大規模開発事業を行う事業者に対し求めている開発協力金の一部等をあてていく。
基盤の整備財政基盤も
区民主体の文化振興を進めて行くためには、まずは、民間の活力を最大限に活用することにより文化振興を牽引していく。そこで、中央区の地域事情に詳しく、専門的知識を持ち、具体的な取組をプロデュースするみとができるアートプロデューサー等からなる文化振興プロデュースチームを設置し、具体的な文化事業の企画、立案を行い区民の活動を支援するとともに、文化ボランティアの育成を図っていく。
また、文化の担い手である区民が主体的に参加する組織を整備していくため、住民、町会・自治会をはじめ、企業、NPO、大学等からメンバーを募集するなど、幅広い区民から構成される組織区民フォーラムをつくり区民自らが中央区の文化振興の現状や今後について検討したり、具体的な取組を企画、運営していくことが重要。同フォーラムが先の文化振興プロデュースチームが企画したり支援が必要とする文化事業をサポートすることも考えられる。
文化活動を区民が享受するためPR用の掲示スペースの設置など、さまざまな形でインフォメーションを行う。
なお財政的基盤では、文化振興基金の設置を提案するとともに次の必要性を説いている基金では、開発協力金のほかに区民や企業からの寄付金等を募っていくことも考えられる。また、区民等の取組を支援するため区が従来から行っている事業費の助成制度の充実を図るほか、企業によるメセナ活動を通じた資金的なバックアップを進めていくことも必要。 |