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プロフィール
 昭和17(1942)年、11月24日生まれ。昭和40年、立教大学経済学部経営学科を卒業と同時に、昭和18年築地場外市場に開店した家業の株式会社北島商店へ入社。
 現在は、2代目代表取締役としてお店の経営に携わる傍ら、築地場外市場商店街振興組合の理事長として、築地場外市場商店街の活性化に力を尽くしておられます。お二人のお嬢様は既に嫁がれ、ご家族は奥様とお母様。ご趣味は、お父様の手ほどきで大学時代から始めたゴルフと、奥様や仲間と共に週2回楽しまれるテニスです。
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 日本一の市場、築地中央卸売市場に隣接した「築地場外市場」は、通称「場外」と呼ばれ、食に関する店約500店が軒を並べ、早朝から大変な賑わいを見せています。プロは勿論のこと素人も混じり、気軽に買い物ができるのが場外市場ならではの醍醐味ではないでしょうか。関東大震災の後、日本橋から移転してきた場内(築地中央卸売)市場の傍で、その補完的な営業をするために佃煮、海産物、珍味、漬け物、料理道具等の店が次第に発生したのが始まりで、以来、両者は一体となり、東京の台所、食の供給基地として、共に発展し親しまれてきたのです。今回は、この築地場外市場の商店街を更に魅力ある商店街にと、その活性化に日々取り組んでおられる築地場外市場商店街振興組合の理事長 北島俊英さんにお話を伺いました。
 
中央区との関りはどのようなものでしょうか。
 
 昭和18年、父が生家の佐賀県有田にある瀬戸物店の支店として開店し、昭和21年に法人化し、現在と同じプロ向け及び一般向けの缶詰・調味料等を格安で提供する食材店となりました。この「北島商店」に、生まれ育ちましたが、少年時代はこの店に住居があり、学校へ行き来するにも、人波を縫って行くのが大変なほど、商店街は今以上に買い物客で溢れていたのを覚えています。佃の渡しに乗って、往来して遊んだり、木場の材木置き場で水遊びをしたり、喉かな隅田川の風景が思い出されます。結婚後は他区に住んだこともありますが、交通等が大変便利で、静かな住み慣れたこの築地の魅力に引き戻され、現在は明石町から毎日この築地場外市場へ通っています。
 
築地場外市場商店街振興組合についてお聞かせ下さい。
 
 築地場外市場商店街振興組合は、東京都の認可団体として、平成4(1992)年に発足しました。築地場外市場は、海幸会、共栄会、また近隣で商売している方々等全体で約500店舗から成る大規模な商店街なのですが、その中の、築地4の8〜14番地までの約3ヘクタールの真四角の土地に当たるのが私達の組合の区域です。私が第2代目の理事長に就任して3年目になりますが、(役員の任期は2年で、今年の総会で再選されました。)組合員は、約320の店の代表者で、平均年齢は50代です。組合の名称の通り、商店街を振興するということを目的に、より一層お客様に愛される場外市場を目指し、日々活動を続けています。
 
築地場外市場商店街振興組合の具体的な活動について、お聞かせ下さい。
 
 毎月1回、定例の理事会が開かれ、これからの場外市場のあり方等も含めた当商店街の活性化について様々な策を話合っています。
 毎年恒例のイベントとしては、新大橋通りを挟んだ向かい側の国立ガンセンターに隣接の駐車場で行う、夏のビアガーデンがあります。お客様への感謝と場外市場で働く従業員への日頃の労いを込めて、町会員、組合員有志の主催で開催しています。春と秋には、中央区商業祭りの一環として「半値市」を開催。参加組合店で1品ずつ通常の半値で商品を提供すると同時に、場外市場内の駐車場で「のみねー、くいねー」のイベントでビール、食物を提供し、日頃の感謝をお客様に還元しています。2002年秋は10月12日(土)に開催が決まっており、青森県の協賛で、その場でホタテ貝を焼く等の催しも予定されています。また、年末の「ホームランセール」では、プロのお客様を対象に、場外市場で使える2割引券を販売し、大変に好評でした。
 
これからの築地場外市場商店街振興組合の活動についてお聞かせ下さい。
 
 現在、商店街活性化のためのいくつかの案を検討しているところです。そのひとつは、お買い物頂いた生もの等をより新鮮にお届けさせて頂くための、当日配送出来るよう宅配業者と協議中で、近々実現できる予定です。
 また、全国各地の特産品を場外市場で販売するために、当組合の活性化委員会が地方の業者と交渉中です。これにより、各地の紹介をすると共に、場外市場が食を中心にした情報の発信地になれればと願っています。
 そしてもうひとつは、早稲田の商店街で町おこしとして始め、全国の商店街で話題を呼んでいる「エコステーション」についてです。このシステムは、空き缶やペットボトル等を街のエコステーションへ持って行くと、商店街で使える買い物券等に引き換えることができるもので、商店街の活性化とエコロジー、お客様へのサービスという3つの利点があります。つい先日、この実現に向けての現地視察を行ったところです。
 
中央区の次世代を担う若者として伝えていきたいことは?
 
 兼ねてからの懸案であった築地場内市場の豊洲への移転は、概ね決定しつつあるようです。移転後、残された築地の将来が、どのように変化するのかを予測しつつ、今後について、色々な施策を話し合っている最中です。
 都では市場移転にあたり、我々に歴史的経緯から配慮をすると言っています。その配慮の中に新市場の我々に参加をにおわせています。そこで、近々320店舗にアンケートをとり、希望者の組織を形成し、都に対し要望等をしていく予定です。また、移転後の市場をどう開発したら我々の活性化に活用できるかというインフラの問題等についても、組合内で活発な意見が交わされています。このような情況のもと、先代から受け継いだ店や、長い歴史の中で培われた確固たる存在である築地場外市場を、何とかして後に残していきたいというのは、組合員全員の総意であり、私達の意思をついだ継承者を末永く残していくには、どうしたらいいか常々思っているところです。
 
 北島さんのお仕事場の机の上には「逃げない、あきらめない、へこたれない」と書かれた紙が挟まれています。ずっと以前にお店に訪れたお客様がおっしゃっていた言葉で、以来、人生やお仕事においての教訓になっているそうです。いかなる情況に置かれても、発想を転換させて、常に前向きに突き進み、その乗りきり方を思案する。テニス焼けした柔和な表情から、そんな潔いリーダーの素顔を垣間見ることができました。
 「築地」の、日本一の市場、新鮮な食の宝庫というイメージは、私達の心に深く刻まれ今後も揺らぐことはないでしょう。これからも築地場外市場の商店街が、私達買い物客の心弾ませる素敵な商店街であり続けてくれますようにと願っています。

2002年8月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  


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