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HOME > 特集 > 中央区都市観光編 > 中央区の地域コミュニティ・月島地域連合会
 

下町情緒と近代都市の混在するウォーターフロント

 月島地域は、佃、月島、勝どき、豊海、晴海の5つの地区から成り立っています。佃は江戸時代隅田川河口の中洲に開かれた漁師の村でした。やがて魚河岸ができ、小魚の加工品、佃煮の発祥の地としてよく知られるようになります。 月島は明治中期、東京湾の埋め立て第一号造成地として生まれ、勝どき、豊海と埋立地は広がりました。この地域は石川島播磨を中心に、鉄工や鋳物の町工場が密集し、商店街や路地が形成され、河岸や工場で働く人たちの長屋が軒を連ね、東京の下町として発展してきました。関東大震災や、第二次世界大戦の戦災の影響をあまり受けなかったため、今なお、長屋風の木造家屋や狭い路地など、下町情緒を残す街並みが見受けられます。ただ、ここ十年ばかりで地域の様相はずいぶんと変貌しつつあります。佃の渡しが佃大橋に変わり、工場の移転、その跡地の大川端にはリバーシティ21の高層マンション群が立ち並んでいます。また昨年末、晴海にも晴海アイランド・トリトンスクエアがオープンし、ショッピングモールやレストラン街が人気を集め、東京の新しい観光スポットにもなってきました。こうした近代都市化の進む一方、高層ビル群のすぐ足元には、掘割や船溜まりがあったり、佃煮やもんじゃ焼きの香り漂う商店街も健在し、丹精な植木鉢の並ぶ路地もそこかしこにみられます。古いモノの良さと、トレンディな感覚がクロスオーバーするウォーターフロント(臨海空間)、それがこの地域の魅力でもあるのではないでしょうか。
もんじゃの商店街に月島観音堂
 地下鉄の月島駅から、月島西仲通り商店街を勝どき方向に進むと、三番街の右手柴崎ビルの一角に月島観音堂があります。今年9月にリニューアルした立派な観音堂は、11月に開山50周年記念の落慶法要が盛大に行われました。かつて商店街の活性化を願い、信州善光寺から一光三尊如来像を奉遷し、善光寺別院・月島開運観世音として開かれ、以来地域の「守り本尊」として大切にされてきたものです。正月の初観音、節分、灯篭流しなど、観音堂を中心とした古くからの行事は、商店街に活気をもたらす一助と期待されています。毎月27日の縁日には、商店街のSALEも行われるとのこと。地元の人はもとより、もんじゃを食べに月島を訪れた人たちの参詣する姿は、微笑ましい光景です。
 
INTERVIEW  月島地域連合会会長 柴崎仁久さん
地域コミュニティ特集の最終回インタービューは、月島三之部町会会長、月島連合町会会長など、20年来地域活動に携わってこられた月島地域連合会代表の柴崎さんに登場いただき、地域の変化と今後の町会活動についてお話を伺いました。
 
月島地域連合の活動

 月島地域は佃、月島、勝どき・豊海、晴海の4つの連合町会から成り立っており、いまや中央区の人口の3分の1以上がこの地域に集中しています。もともと一般住宅の多いところでしたし、密集した長屋の横のつながりが、下町情緒というか独自の地域性を育んできました。昨今は再開発で高層マンションが続々と建ち、新しい住民が急激に増えています。集合住宅など所帯数の多いところでは、自治会をつくってバラエティに富んだ地域活動をしているところもあり、自治会として町会に加入されているところもあります。状況は様々ですが、「地域住民の親睦をはかり、よりよい住環境を」と、目指すものは同じですので、これからも連携をとりながら活動を推し進めていくことが必要だと思っています。 昔の長屋の横のつながりが、マンションという縦のつながりに変化しても、良いところは受け継ぎ、地域に些細なことでも関心をもって欲しいですね。
 
各町会、連合町会では、餅つきや盆踊りなど季節ごとの行事、イベントをはじめ、防災訓練、清掃活動などを行っていますが、地域連合あげての大きな行事といえば、3年に一度の佃・住吉神社の大祭でしょう。来年(H14)8月がちょうど大祭の年にあたります。各町内の神輿が勢揃いし、宮神輿が巡行して地域をあげて祭り一色になります。地域を離れていった人たちもこの祭りには戻ってくるといわれるほど盛んです。町の皆がひとつになり、文化を受け継ぎ、守って行こうとする心が感じられる瞬間です。新しい住民の方たちもこうした機会を通して地域活動に積極的に参加していただきたいと思います。
 また、毎年夏に晴海で行われる東京湾大華火祭は、50万人以上の人が集まる都心の一大イベントとして有名ですがその裏側で、地元の各町会により当日の警備などが行われています。
 
リサイクルで活動費を補助
 月島地域は一般住宅や商店がが多いこともあり、月一回のリサイクル活動(古紙回収)も盛んです。リサイクル当日は、当番が自転車で町内を回り、各家庭から出される新聞、雑誌、ダンボールなどを手際よく収集し、1時間ほどでトラックに山積みになります。こうした活動を通して、使えるものは再利用を行い、ゴミを増やさない---、ちょっとした生活の知恵を、若い人や、子供達にも伝えていければいいですね。リサイクルには行政からの補助もあるので、町会活動の経済的な助けにもなっています。長く地域の活動に携わってきて感じるのは、行政サイドがわれわれの活動を十分に理解し、いろいろな提言にしっかり耳を傾けてくれていることです。中央区はこのコミュニケーションがとてもスムースだと思います。更に女性対策部が行なっている月一回の町内清掃は環境浄化の一助にもなっております。
活動を支える、女性パワー
 大きなイベントはもちろんのこと、日々の地域活動の中で、女性の活動は大きな役割を果たしています。例えば私の、月島三之部町会の女性対策部活動は、町会の行事すべての手伝いのほかに、女性対策部として福祉の面にも目を向け研修に励んでいます。また、会員のそれぞれのアイデアを持ち寄り、過去に於いてもタオルを利用し、犬を作成してホームに慰問をしたこともあります。月一回定例会をもち共通の理解をもって活動して、親睦を図りつつ、社会のために役立つことを考慮し、思いやりと優しさをもったボランティア活動を幅広く展開しています。そのパワーに感嘆すると共に、われわれ男性陣にはなかなか気づかないような、心配りに感謝しています。また新しく移って来られた方たちにも気軽に声をかけて活動に誘い、楽しくなごやかな雰囲気をつくり、若い婦人会員も増えてきていることを大変に心強く感じます。

2001年11月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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