1. 商店街の両側、細い路地裏に軒を並べる70余店のもんじゃ屋 |
営団地下鉄有楽町線と都営大江戸線(H12年冬開通)の交差する月島、初見橋交差点から隅田川に向かって左手、まっすぐに走るアーケードの西仲通り商店街を中心に、左右の細い路地一帯、趣向を凝らしたもんじゃの看板が軒を連ねています。この地区だけで現在約70数店舗、月島もんじゃストリートと言われているわけです。それぞれのお店は特徴のある味、オリジナルメニューや店の雰囲気を売りに、競い合って商売を展開しています。土日、祝祭日ともなると、そこかしこの店の前には行列ができ、家族連れや若い人たちで賑わいを見せます。ゆっくりくつろいでいただくには、ほとんど予約なしでOKの平日がお薦めです。 |
2. もんじゃのルーツは、子供のおやつ |
古くは江戸時代、文政2年に葛飾北斎の描いた庶民の生活、食べ物の描写に文字焼きというのがあり、この文字焼きがなまってもんじゃとなったのではないかと伝えられています。さらに時代が下って、明治時代には小麦粉を使った麩の焼きが生まれ、それが、どんど焼き、お好み焼き、もんじゃ焼きなどに分派してきたとも言われています。
明治期後半から大正時代にかけて、東京の下町には子供のたまり場、遊び場としての駄菓子屋がたくさんあり、その店先あるいは奥で、遊びながら食べるおやつとして存在したのが、駄菓子やもんじゃ。月島ともんじゃのかかわりもこの頃からでしょう。
月島は明治の中期に東京湾埋め立ての第一号地として誕生、明治36年、相生橋の下を通って水道がひかれ、日露戦争の軍需で、鉄工業地帯として発展してきた町です。小さな鋳物工場が数多く、工場で働く人たちの長屋が建ち並び、その生活を支える露店、商店とともに、子供相手の駄菓子やが繁盛していました。月島で育った人には、駄菓子やともんじゃの味は、なつかしい郷愁の味でもありました。
月島で大人向けの食べものやとして独立した「もんじゃの元祖(好美屋)」が出来たのは昭和29年。素朴で懐かしい味が評判を呼んで、以後、30年代に4軒、40年代に4軒、50年代に8軒と増え、平成9年までに約40店舗と急速に増えてきました。魚屋など他業種からの転業が多く、店主のほとんどは地元の人。下町気質に富んだ、きさくな人々の昔ばなしに耳をかたむけるのも楽しいひと時です。 |
3.バラエティーに富んだ味のひろがりとヘルシーさ |
もんじゃの魅力は、素朴で懐かしい、郷愁の味ということもありますが、若い人たちや外国の方たちには、ヘルシーさと遊びごころのある食べものとして受けているように思います。ベースになるのは薄くといた小麦粉、それにたっぷりの刻んだキャベツ、揚げ玉、きりイカ、桜えび。そのほかの具材はお肉、魚介類、野菜なんでもOK、いろいろな組み合わせでじつにバラエティーに富んでいます。振興会加盟店では、それぞれのお店が工夫を重ねオリジナルメニューを創り出しています。たとえば、豚キムチ、もち明太子、じゃがマヨ、チーズ、梅しそ、オクラ納豆などなど、基本のソース味から、カレー味、ピリから味など、味付けも様々。作り方は、熱した鉄板に具を先にのせ、丸くドーナッツ状の土手を築きます。その中に残りの液を流し込み、焦げ目がついて来たら一人用のへらではがしながら食べます。鉄板を囲んでワイワイガヤガヤ、その雰囲気から生まれる人と人との親密なコミュニケーションも、もんじゃ焼きならではの良さです。 |
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月島もんじゃ振興会は、町の有力者の声かけで平成9年4月に有志28店舗の参加で設立されました。以後5年でさらに店舗は70余に増え、振興会加盟店は61店に及んでいます。同業の組合として、この5年間は組織の基礎がための時期で、行政への交渉の窓口、毎日出るゴミの問題の解消、また、月島もんじゃストリートに来られるお客様へのインフォメーションセンター(事務局)を設置するなどの活動を行なってきました。生ゴミは民間の業者に依頼し、毎日回収するなど衛生に気を配っています。飲食店街特有の悪臭を除去し、少しでもきれいな町にしていきたいと思っています。
インフォメーションセンターは、大晦日と正月三が日をのぞき年中無休、お昼の12時から夜の8時まで開いています。専任の事務局員が一人と、会員が交代で詰めていて、ご案内やご相談に応じています。お店がたくさんありすぎてどこにいったらよいか迷うというご相談が多いですが、振興会加盟店のステッカーのあるお店はどこでも安心して食べて頂けます。ファミリー向き、若いお嬢さん好み等々、お店の特徴を尋ねていただければ、十分なアドバイスもできます。
月島もんじゃ振興会のHPでは加盟全店の簡単な紹介とマップも掲載しています。お出かけの前にチェックしてみてください。
月島もんじゃ振興会HPアドレス
http://www.monja.gr.jp/monja/shin/shinkoukai.html |
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振興会として独自のイベントはまだ行なっておりませんが、年に2回、西武鉄道が企画している東京下町散策「陽だまりウォーク」に協賛しています。これは有楽町線の銀座一丁目からスタートし、築地でグルメやショッピングを楽しみ、隅田川沿いをのんびり散策し、佃島で下町情緒に触れ、月島でもんじゃ焼きを味わうというウォークラリー。もんじゃ振興会加盟店のお店での飲食に、割引サービス券を出しています。今年はさらに、営団と東武鉄道合同企画によるウォークが4月13日(土)に行なわれる予定で、振興会も協力しています。こちらは地下鉄茅場町駅をスタートし、東京証券取引所、日本橋、警察博物館をめぐり、歌舞伎座、築地本願寺、築地市場から勝鬨橋を渡って、月島もんじゃストリートに。ここでもんじゃを堪能し、帰路は佃大橋から茅場町にもどる約8キロのコース。のんびりと歩きながら、忙しい日常の中で気づかずにいた街の情景や、雰囲気を切り取ってみるのも、新鮮で楽しい経験になるでしょう。
また、もんじゃストリートの月島西仲通り商店街の一角には、月島観音様がありその縁日(毎月27日)にはびっくりセールも行なわれています。もんじゃの後は、観音様に立ち寄って商店街をぶらっとするのもいい腹ごなしになります。 |
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ブルドッグソースともんじゃ振興会が共同開発した「東京土産、月島もんじゃ」は、月島もんじゃソース、ミックス粉、あげ玉、切りイカ、小えび、青のりといった材料に、もんじゃ用のへら(はがし)2本をセットにしたもの。刻んだキャベツを加えるだけで、ご家庭で本場月島もんじゃの味が手軽に楽しめます(2人前_2回分で1000円)。振興会推奨品として加盟店、羽田空港、キオスクにおいてありますので、ぜひおみやげにお試しください。
今後の課題は、振興会を法人化して行くことと、年に一日"もんじゃの日"をもうけ、ふさわしいイベントを開催することです。「食べて美味しい、楽しい下町の味ムム、世界にはばたけ月島もんじゃ」の心意気で、たくさんの方たちに喜んでいただけるよう、頑張っています。 |
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