外国を訪れる人々は、その国の文化、建築や芸術あるいは珍しい習慣に強い関心を抱くものです。江戸情緒あふれる日本橋には、外国からのお客様が興味を惹くような魅力的な名所や老舗、風趣がたくさん揃っています。
　たとえば食文化を考えても、江戸時代から培ってきた「和のテイスト」が感じられます。洋食や中華料理の飲食店においても食材や味付けに独特の和のエッセンスがあり、料理の盛り付け方にも和食の「見る楽しみ」が生かされ、まさに和の料理の宝庫と言えるでしょう。当ホテルではこのような地域資源に恵まれた日本橋に密着し、訪れる方々にきめ細やかなパーソナライズドサービスができるホスピタリティを提供したいと考えています。

　日本には他の国にはない独特のホスピタリティ文化があります。これは世界にも通じる日本式ホスピタリティで、相手への配慮を癒しの心で包み込む「もてなし」というものです。その真髄は「目配り、気配り、心配り」にあると私は思います。これらは簡単で言い古された言葉のようですが、人間と人間の関係にとって実はとても大切なことなのです。そして私たちの中には意識せず、それが身に付いた習慣になっているということ。これこそが、日本人のスピリッツの根底にある素晴らしさなのだと思います。
　同様に「粋」の美意識にも「目配り、気配り、心配り」を通して表わされるものがあります。「粋な人」は相手に派手に振舞うこともなく自分をおさえて控えめですが、人知れずに相手に気を配り必要な時に応じてくれます。そのような経験に出会った時、相手の行為のなかに「粋なはからい」を感じるのではないでしょうか。こういうあっさりとした気持ちの良いきれいさが内面から溢れでるのが「粋な」美人であり、”心も身体も美しい“ほんとうの「日本橋美人」と言えるのだと思います。

　二〇〇七年六月に発足した「日本橋美人推進協議会」では、「日本橋美人」の概念を核として、江戸から培われた日本人の心を再発見し、”Japan Beauty from Edo-Tokyo“という新たな価値を発信していくため、すでにいくつかのプロジェクトが実施されています。
　そのひとつが今お読みいただいているこの「日本橋美人新聞増刊号〔壱〜参号〕」で、日本橋美人の考え方の根底にある受け継がれた伝統的な文化や教養をとりあげています。（東京中央ネットhttp://www.nihonbashi-bijin.com　でも配信中）
　また、日本橋の企業や老舗、名店が協力して日本橋観光サービスの一層の充実を目指し二〇〇七年一一月にスタートした「江戸日本橋観光めぐり」では、老舗と名所旧跡を巡る観光コースを選定し、すでに多くのお客様をお迎えしています。観光都市日本橋と日本橋美人ブランドの魅力が伝わる企画として好評をいただき、コースの増設が予定されています。
　さらに二〇〇八年一〇月二四日〜一一月九日に開催が予定されている「二〇〇八 日本橋美人博覧会」では、日本橋地域ブランディング事業の一環として国内外からの集客と日本橋地域全体への回遊をはかり、賑わいの創出と商業活性化をもたらすことを目指しています。実施にあたっては、教養と研ぎ澄まされた感性を尊ぶ江戸っ子の叡智と、そこから学ぶ「日本橋美人／Japan Beauty from Edo-Tokyo」のコンセプトを表現していきたいと思います。
　日本橋を訪れるお客様をおもてなしの心で迎え、地域のブランド力を向上させていくのは非常に価値のあることです。イベントを通して日本橋の魅力を紹介し、より多彩で豊かな日本橋美人の事業コンテンツを提供できるようにしていきたいですね。