時間の流れが早く、季節を楽しむゆとりに欠ける私たち現代人の生活。年中行事など、ほとんど気にも止めずに過ごしている方も少なくないはずです。
しかし、お正月には神様を招く門松を飾り、二月は豆まきで厄を払って福を呼び込み、三月にはお雛様を飾って女子の健康を願い、五月の端午節句には菖蒲湯に浸かって無病息災を祈る……。私は、こうした情緒豊かな日本古来の年中行事が忘れ去られていくことは、心が潤いをなくしていくようで、とても悲しい思いがします。
心が乾燥し、かさついていては、肌がみずみずしいはずもありません。季節や年中行事を楽しむ精神的ゆとりもまた、美人の条件といえるはず。
住居スペースや立地の問題がある都会暮らしでも、情緒を楽しめる方法をご紹介しましょう。
それは、和菓子を愛でて味わうことです。思い起こせば、正月にははなびら餅、春の鶯餅や桜餅、端午の節句の柏餅、夏の水ようかん、秋彼岸の萩の餅や冬の椿餅など、和菓子は、ほかのスウィーツと異なり、旬の素材や季節の植物、行事をモチーフに創られています。美しい色と形の和菓子を買いに行くだけで、すでに季節を感じる心が潤ってくるはずです。
また、新しい習慣が身につくと、その和菓子に合わせた器を選ぶ楽しみが生まれます。五感はどんどん研ぎ澄まされていくに違いありません。いかがですか?想像しただけでも、心が和んできませんか。(以下省略) |