新年度予算総額606億円 快適な都心生活を応援する予算

 中央区は16日、平成16年度の各会計予算案を発表した。このうち一般会計は606億9,551万円で前年度に比べて14億5,631万円、2.3%の減になっている。明石町の2中跡地に建つ複合施設の皆減(44億)によるもので実質は横ばい。区は厳しい財政状況のもと次のような予算にとりくむ基本認識を明らかにしている。「地域経済の活性化、安全・安心な区民生活の確立は大きく、このようなときにこそ、区政は区民に最も身近な基礎的自治体として基本構想・基本計画が示す『安心・快適・躍動』のまちを築くため、時代の潮流や区民ニーズに的確に対応するとともに、地域特性をふまえた創意工夫をこらし、多様な課題に積極的かつ果敢に取り組む必要がある」そして当初予算を「快適な都心生活を応援する予算」とよんでいる。また健全財政を維持していくために、計画策定との一体化、クレーム方式の導入、スクラップ・アンド・ビルドとサンセット方式の活用など新しい試みもとり入れている。人口増にともなう行政需要への対応にも重点がおかれ、「あかちゃん天国」や「まごころステーション=すぐやる課」など新住民へのサポート体制もうちだし、教育への新しい挑戦も明らかにした。主な事業をまとめてみた。


初の「赤ちゃん天国」開設
子育てを支援
 <子供家庭支援センター>子育て支援の拠点を設置。勝どき1丁目、月2小前の公衆浴場跡地に勝どき保育園新園舎、区営住宅と複合施設。相談事業の地に、一時保育、トワイライトステイ、ショートステイなどを実施。規模は約600平方メートルで、19年度に開設の予定。
 <赤ちゃん天国>月島区民センター(出張所)1階のグリル跡地に今年7月に開設。乳児(1歳未満)と母親同士のふれあいの場を提供。相談にも応ずる。利用は無料。23区で初めての施設。
 <晴海に児童館>学童クラブもふくめて既存施設の活用や民間委託について重点的に検討する。
 <認証保育所誘致>民間事業者による認証保育所の家賃負担軽減、開発準備経費を助成して誘致。定員30人で日本橋に1園、月島に2園を予定し、3か年で実現。
 <八丁堀保育園>本区初の公設民営保育園として、8月に開設。定員79人。
 <勝どき保育園>子ども家庭支援センターとの複合施設として移転改築。定員は10人増で120人。


障害者を支援

 <グループホーム>PFI手法を活用した痴呆性高齢者グループホームを佃の青年館跡地に建設。19年7月に開設の予定。
 <第2中跡地>知的障害者生活支援施設「レインボーハウス明石」、介護老人保健施設「リハポート明石」と明石在宅介護支援センターが7月にオープンする。区立住宅と併設。
 <口腔ケア>障害者、在宅要介護者などに「かかりつけ歯科医」を紹介、相談窓口を設けるとともに、特別養護老人ホームなどの職員に口腔ケア指導をする。
 <プレママ歯科検診>産後の母親とともに産前・プレママにも歯科健康審査を実施。
 <ガン健診>胃ガン健診を区民健診と同時実施▽子宮ガンは通年実施▽乳ガンは、視触診に加えてアンモグラフィ検査(X線写真)で2人医師が検査▽肺ガンは、区民健診で全員に胸部X線写真の二重読影を実施。
 <足裏刺激遊歩道>浜町公園と同じものを桜川、築地川、同銀座、坂本町、佃、京橋、築地川亀井橋の7つの公園に新たに設ける。
 <女性史の編さん>男女共同参画行動の一環として、女性の視点から女性の生活史をまとめる。学識経験者、女性団体代表と公募区民で編さん委員会。通央に加えて聞き書きによる「区民の語る女性史」も作成。来年10月発行。
 <ブーケ21>区民スタッフの養成講座を開いて、非常勤の女性館長を置く。


都心らしい教育改革

 <学校教育検討会>学校制度をめぐる改革の動向や、区域外就学などの状況をふまえ都心における区立学校のあり方や地域に開かれた学校づくり、学力向上対策などについて抜本的検討する。区長部局も加わる。(1)区立学校のあり方(2)特色ある学校(3)小学校の自由選択制(4)学力の向上、の4点を先行検討して新年度中に中間報告。次いで(5)地域に開かれた学校づくり(6)学校の2学期制(7)幼保一元化などを検討し17年度にまとめる。
 <特色ある学校>複数課にまたがっていた「特色ある学校づくり」事業の予算を統合して各小中学校の主体的な創意工夫を生かすようにする。
 <校内LAN>中学校全校で整備してインターネットに接続。小学校は来年度。
 <柏学園>グランド、体育館を大人も利用可として使用料を徴集。


安心安全な居住

 <安心安全条例>懇談会の検討をふまえ9月議会で条例化して犯罪を未然に防ぐ対策を明らかにする。
 <動物愛護懇談会>ペットブームにともなうトラブルを解決するために設置。11月にまとめる。
 <ポイ捨て条例>3月議会で「歩きたばこ及びポイ捨てをなくす条例」を制定し、6月施行。従わないと注意書を交付、次に氏名公表する。
 <リサイクル>日本橋清掃事務所にリサイクルかざぐるま箱崎町を4月開設。
 <緑の実態調査>空中写真による被緑調査。
 <分譲マンション>管理や建替のアドバイザー派遣の助成、実態調査を実施。

新しい行政サービス
 <まごころステーション>行政サービスを総合的にコーディネートし、迅速な対応に結びつける組織。区民の問い合わせ、要望・相談に的確に対応。すぐやる課の別称。
 <サービス検討>人口増による行政需要に応えるべく、施設の有効活用など新たなサービスを検討するためプロジェクトを設置する。
 <基本計画の改定>計画期間を5年とし、年次ごとの計画目標、成果目標を明らかにして行政評価や予算編成の基礎として実効性を高める。実施計画はとりやめに。
 <電子区役所の推進>(1)電子調達の実施(契約事務)188万回公共私設予約システムの運用2424万(3)戸籍情報システムの導入(要2年)3億1794万(4)公的個人認証(電子署名、電子証明書の発行)の実施38万円。
 <住所情報システム>住記・印鑑・選挙・年金システムも順次アウトソーシング(民間に委託)の実施に。1億5,771万円。


問屋のSOHO改装 地域金融の法策検討

地域経済の活性化
 <商工業融資>ベンチャーなど「創業支援資金融資」の新たな事業者の要件を、(1)適切かつ確実と認められる事業計画を有し、区内で創業する者、(2)すでに事業している中小企業(法人)が別法人を設立する者、などに緩和。
 <日本橋問屋街>文化服装学院との連携を引き続き支援していく。1,000万円。
 <SOHO改装>オフィスビルの空洞化が目立つ東日本橋で、ビルを「住宅兼アトリエ」として服飾関係のSOHOが育つ環境へのコンバージョンを行うビルオーナーに対して、モデル事業として改装費の助成をする。3,452万円を計上。
 <ハイテクカレッジ>新規事業展開カレッジの受講者(印刷・製本)に対して事業化を支援。200万円。
 <地域金融のあり方>3月に東急百貨店跡地に開設する早稲田大学大学院ファイナンス研究科と連携し、地域金融のあり方を調査し、中小企業の資金調達への支援策などを6月から来年の3月まで検討する。
 <防犯カメラ>特色ある商店街づくりとして、防犯カメラとスピーカーを銀座並木通りに次いで、今年は日本橋八重洲会に設置。カメラ36台、スピーカー40台。区が3分の2補助。1,748万円。
 <観光情報誌>観光協会を通じJTBの出版会社に協賛し区内全域の観光情報誌(ルルブ特別号)を発刊。5万部発行で600万円
 <金融経済専門委>非常勤職員として商工課におき、中小企業施策に活用し、窓口相談にアドバイスもする。当面1人で326万円。


CATVが具体化へ 郷土資料館明石町に
 <築地ビジョン>市場移転と環状2号線の地上化をふまえて築地の活性化を生みだすビジョンづくりの調査をすすめ、地域主導の検討会を設置する。
 <ケーブルテレビ>1区1社の法が改正され、江東区にある電気通信役務利用放送事業者「東京ベイネット」に出資をしてケーブルテレビの整備を加速させる。モデルとして新川マンションの電波障害に着手する。出資額1,800万円。
 <町名検討会>旧町名の活用、現町名のあり方などについて調査する。座長は竹内誠氏の予定。
 <駐輪場の整備>条例にもとづき八丁堀駅周辺を放置禁止区域として、来年4月に指定。新しい駐輪場として、桜川公園に隣接した八丁堀第2駐輪場、霊岸橋際の橋台地に茅場町駐輪場を設置。来年3月完成、4月利用。3,524万円。
 <柳橋の景観照明>より効果あるものに更新。景観照明は他に南高橋、豊海橋、湊橋、新亀島橋、高橋、西仲橋で行っている。
 <電線共同講>室町1丁目と本町1丁目地区で工事を始める。2億3,773万円。
 <カーナビ・携帯サイト>銀座地下・京橋プラザ・浜町公園地下の各駐車場の満室情報を試験的に提供。
 <交通改善支援事業>「銀座ルール」の運用として、附置義務駐車場を隔地確保する事業者からの協力金の受入れと、同協力金を原資とした集約駐車場建設への助成、交通環境改善事業への助成を実施する。2,569万円。
 <地区計画の活用>住宅の量から質への転換を図り、地域の特性にふさわしい居住空間を整備する。対象は昭和通りまでの第2ゾーンと月島地区。
 変更内容は、住宅容積の割増しを1.4から1.2倍に引下げる。また、月島地区と明石町では総合設計制度の高さを制限。さらに月島では2項道路を3項道路に指定換えをして、全員同意型の手続きを簡略にする。
 <市街地再開発>浜町3丁目西部=来年8月完成、住宅550戸に店舗、事務所等▽人形町1丁目=完成19年9月住宅330戸▽勝どき6丁目=完成21年1月、住宅2,500戸▽勝どき駅前=21年11月完成、住宅800戸。総額23億8,100万円助成。
 <日本橋・東京駅前>懇談会での協議を通して地域改善に向けた計画案を作成して国や都へ働きかける。
 <郷土資料館>築地社教の資料館を教育センターに移設して倍の広さになる。プラネタリウムを更新して一般開放する。
 区民ギャラリーも新設する。開設は12月の予定。

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