銀座に「ホタルの小屋」

 銀座の入口、新橋の橋台地(小公園=港区)に銀座柳の碑が建ち、滝のある池があしらわれている=写真。この公園に10日(木)から14日(月)まで銀座夏の風物詩「ホタルの里」がお目見えする。
 事の起こりは銀座の象徴・柳の木を盛岡市に寄贈したことに始まる。昨年6月のことだった。贈呈式は6丁目並木通りの石川啄木の歌碑の前で行われ、贈られた柳は市の中心部にある「啄木新婚の家」に植えられた。この仲立ちをした人が港区の斎藤昭彦さんで、啄木が生れた渋民村が合併してできた玉山村の出身であり「みちのく盛岡ふるさと大使」もつとめる。郷土と銀座の交流を願い、銀座に柳を復活させた勝又康雄さんと相談して柳の寄贈となった。
 そして「お返し」として今回の「ホタルの里」となったという。公園の水は1週間に1度とりかえられていて、きれいなところから、これを利用して高さ3メートル近い小屋をつくりホタル500匹を玉山村から運んで小屋に放つ。ホタルの到着は10日の朝。
 ホタルの卵は約1か月で幼虫となり水の中に入る。やがて陸にあがり土中に穴をつくってサナギに成長し、さらに1か月後に成虫となる。卵から成虫まで約1年かかる。成虫の寿命は1週間から2週間という。
 今回は会場内に水ゴケの産卵場所を設けて、閉会後は展示されたホタルと産みつけられた水ゴケはすべて玉山村に持ち帰り、澄みわたる青空と清流にかこまれた大自然のなか、手厚い保護のもと大切に育てられる。来年の夏には元気に飛びかうホタルになって銀座を再び訪れる。
 オープンの10日は銀座8丁目町会、盛岡市、玉山村の主催でテープカットなどセレモニーを午前10時から開催。中央区の矢田区長、港区の原田区長が挨拶する。小屋の中は暗くして一般の人が見学できるようにしてある。
 小屋の設けられる小公園は国土交通省の国道事務所が管理していて、今回のイベントに協力的。できれば同じ催しを日本橋の滝の広場で出来ないかと検討している。
 柳がとりもつ縁でホタルがお目見えかねてから勝又さん達は「銀座にせせらぎ」の思いを秘めていて、ホタルを仲立ちに、その夢が現になると期待している。