第4回定例区議会の各会派代表による一般質問は11月27日から2日間にわたり行われた。登壇した議員は、鞠子勝彦、小栗智恵子(共産党)渡部博年(民主党区民クラブ)青木幸子(友愛中央)木村克一(自民党)植原恭子、中島賢治(公明党)の7人。それぞれの区長らとの主なやりとりをまとめた。
鞠子 勝彦議員
来年4月実施の後期高令者医療制度は、保険料が現行の国保料より負担増になる区民が出るなど問題があるとして四月からの実施を中止するよう23区共同で国に求めるべきだとして区長としての見解を求めた。矢田区長は、独立した医療制度の創設で、国民皆保険を堅持し、持続可能にしていくためのものとの認識を示したうえで、中央社会保険医療協議会での具体的な診療報酬案の検討を注視していき、制度の周知を働きかけたいと答えた。
保証協会と金融機関が責任を共有し連携して融資を行う責任共有制度は、中小零細企業の今後の借入れに支障が出るなどの懸念が広がっていると指摘。区長は「中小企業に対する経営や再生の支援が強化される」との認識を示すとともに、同制度の対象とならない「小口資金融資制度」を区独自で創設して中小企業の円滑な資金の確保を計っていると説明。
小栗智恵子議員
豊洲の土壌汚染が千倍の濃度のベンゼンが明白になった今、移転反対の世論が日増しに高まっているなか、東京都に具体的な行動をおこすべきだと主張。区長は詳細な調査結果と専門者会議の結論をふまえて「適切に対応する」と答えた。
オリンピック招致の署名運動をすすめていくことは、築地市場を移転させオリンピックのメディアセンターとする計画に賛同することなのか、と質した。区長は、招致署名への取り組みが築地市場移転そのものを認める活動とは考えていないと答弁。
学力向上には教師の多忙を解消し少人数学級を実現することだとして、杉並、荒川区の区独自で教師を採用する方式について質問。高橋教育長は、都の人事異動方針との調整など課題があるとして、少人数・ティームティーチングの指導の充実をはかっていく方針を示した。
渡部 博年議員
猪瀬副知事が日経BPネットに載せたコラムについて、中小店舗が移転できないなど都に無責任さと怒りを感ずるとして、区の見解を求めた。区長は、築地市場にとって負のデータばかり列挙して移転を前提とした議論で、食文化にはふれず、事業者の育成、配慮といった点で「都の責任者としての視点に欠ける」との印象を示した。
オリンピック開催で「成熟都市を目指す」とはどんなイメージなのかと質問。区長は都はインフラ整備だけでなく東京をより高いレベルに成長させ、世界に発信できる新しい都市モデルを目指していると説明。
まちづくりについて、地域での協議の方向と仕方を質した。区長は広域的な課題はまちづくり協議会、開発計画などは地域主体の協議体で対応していくとし、今後の話し合いで地域主体の協議体の設置も検討すると説明。東京都の関りについて質したところ、区長は「晴海では上位計画が地域の実態と合わない状況にあるので都の説明責任を果たさせるようにする」と約束。
高齢者生きがいづくり推進検討会の経過と展望について質問。区長は、意識調査をもとに「社会参加」と「就労支援」の部会を設けて検討しており、年内にも中間のまとめを明らかにするとの方向性を示すとともに、具体的には高齢者の能力を活用する人材バンクや就労支援の方策などを示した。
青木 幸子議員
環境問題で学校の校庭芝生化に言及。墨田区の小学校でアスファルトをはがさずに屋上緑化の技術により1ヶ月で芝生化した例を紹介し、中央区の取り組みをただした。高橋教育長は「本区の校庭は狭いだけでなく、利用が多目的で頻度も高いので芝生に適していない」との現状を示し、中央区としては屋上の芝生化を進めるとの方向を示した。 区として緑化の基本的な方策について質問。区長は、朝潮運河などの緑道整備、区立施設の屋上や壁面の緑化、民間での緑化助成限度額の増額などの充実を示した。
肝炎対策について本区での検査の実情を質した。区長は肝炎ウィルス検査の年間受診者は3千名前後、C型肝炎の陽性率は1%程度、人数にして30人台で推移してきたが平成18年度の受診は2,917名で、陽性者は18名0.6%と若干下がっていると説明。
ひとり親家庭の現状について質問。区長は、就労支援を目的とする自立支援事業の実績を今年度、教育訓練給付金の支給が2名、高等技能訓練促進費についてはまだ利用がないと説明。また区として独自にパソコン教室を開き、保育所に入所する際の優遇などに取り組んでいると説明。
木村 克一議員
今後需要が増加する高令者住宅に対応するためには、民間活力を活用した賃貸住宅の供給を推進していくべきだ、として区の考えを質した。区長は平成15年から高令者向け賃貸住宅制度を実施しているが利用の進まない状況を説明し、助成額の増額など国や都に求め、実効性を高めたいとの方向を示した。
育児経験者が自分の家で保育をする家庭福祉員制度について、その役割が重要であるとして区の取り組みについて質問。区長は、子どもを預かる責任の重さからなり手が見つからない状況にあるとして周知につとめるとともに、家庭福祉員と利用者の意見を聞いて制度の充実につとめることを約束した。
防災マニュアルを実効性あるものにしていく手だてについて質問。区長は、今年度中に11の拠点でできあがり、残る十の拠点は来年度中に整備するとの見通しを示すとともに、マニュアルは各拠点での訓練において内容を検証して、拠点ごとに広報の資料も作成していくと説明。
「もったいない」には、リデュース、リユース、リサイクルが含まれるとして、その普及について質した。区長は地域での質問回収は地域コミュニティを拡げていくものであり、3R推進を次世代に引き継ぐよう務めたいとの決意を明らかにした。
挨拶などの礼儀を学校でどうしているかと質問。教育長は、地域や関係団体と協力してスポーツ活動への参加を積極的に推進して挨拶やマナーの習得につとめるよう指導していくと答えた。
いじめ克服に小動物の飼育を通して命の大切さを学ぶことの重要さを指摘。教育長はすでに小学校で実施しており今後、命の授業、道徳教育との連携を図ると説明した。
植原 恭子議員
区民の健康を守るために、ノーマライゼーションの構築が欠かせないとして区の考えを質した。区長は福祉計画にノーマライゼーションのセイシンを明確に示しており、ハードソフト面で展開、「ノーマライゼーションの先駆的取り組みを目指す」と約束。
特別支援教育について、中央区の推進計画を策定するよう求めた。区長は都の推進計画の第2次実施計画をふまえて策定を検討していくとの方向を示した。
月島第一小学校に四年前に開始した情緒障害通級学級の「つばさ学級」が保護者から感謝されているとして、中学校にもとの声を紹介して区の対応を求めた。教育長は小学校を卒業したのち区立中学に多くが進学している現状を指摘するとともに、つばさ学級を評価しているとして、特別支援教育推進計画の一部として今後検討していくと答弁。
中島 賢治議員 東京湾大華火祭の観覧について、住んでいるお年寄りは「朝潮橋や清月橋から見た方がよい」という人が多いのに橋の上を目隠しをしている現状を質した。区長は安全第一を強調し、既存の会場以外での観覧は難しいと説明した。また「来たときから帰りを気にする」現状で打ち上げ場所の変更についても質問。区長は現在の場所が最適で変更は船の航行などから難しいとの考えを示した。
中央区と映画との関りを説明して、落語と合わせて多目的ホールを労働スクエア跡地に求めた。区長は既存施設とのバランスを考慮し、労働スクエア跡地も候補の一つと考えていると答えた。
温暖化対策としてソーラーパネルによる発電の必要について質問。区長は、公共施設だけでなく民間の事業所やマンションに普及して行く効用を説き、周知につとめたいと答えた。 |