アジアの東海に浮かぶ日本と中央アジアの天山山脈に位置するアジアの十字路キルギスが、長大なシルクロードで時空を超えてつながっており、「日本橋」はシルクロードの終着駅に位置する「シルクロードブリッジ」とのメッセージ―と提案して開催された日本橋・三越劇場でのアジア・シルクロードフェスティバルが6月29日大成功を収めた。9月にはこの長大なシルクロードブリッジを空路キルギスに渡り、感動満載の「アジアの瞳サマーキャンプ&フェスティバル」を体験、実際にキルギスと「日本橋」を軸とするアジア・シルクロードへの理解を深め、日本の民間NPO団体などとキルギスの地元住民、キルギス民族アンサンブルを中心に、今後、交流拠点「太陽芸術村アジアの瞳」を創設する方向で合意した。
三越劇場のフェスティバルは、日本自転車振興会によって、名橋「日本橋」保存会(中村胤夫会長)らと共催したこの催しが「日本橋」を中心としたまちづくりに貢献する補助事業と認めていただいたことで実現した。
後援した矢田美英中央区長は、メッセージで中央区・日本橋とキルギスを結ぶ長大なシルクロードブリッジへの期待を寄せ、アスカル・クタノフ大使は「シルクロードの終点日本橋を、シルクロードの出発点にしようではありませんか」と会場に呼びかけ拍手喝采を受けた。共催者の中村胤夫名橋「日本橋」保存会会長は、「コムズという三弦の楽器は中国で三弦、沖縄で三線、日本に渡って三味線として定着、江戸歌舞伎で使用されるようになりました。保存会は日本橋地区挙げて、高速道路を移転して日本橋川をきれいにしようとしている。五街道、国道全ての基点ですが、今回はシルクロードの道のりを伝わってきた音楽の終点であるということで大変意義ある催しだと考えている」と挨拶しました。
三越劇場では客席にいながら、アジアシルクロードの楽器演奏を聴きながらキルギスにつながる音楽回廊を旅するミュージックキャラバンを体験しましたが、その後9月7日から14日まで(現地滞在6日間)、太陽崇拝の聖地マンジュルアタで移動式住居ユルタに宿泊、三味線の起源とされるコムズの演奏を聴いたり騎馬競技を観戦するなどキルギスの暮らしと文化、芸術を体験、遺跡を巡る充実したプログラムを堪能。最後にはキルギス最高の民族アンサンブル「オルドサフナ」の素晴らしい演奏とファッションショーで締めくくりました。旅行は井上靖生誕百年を記念して、作家が希望しながら訪問が実現しなかったイシククル湖岸でシルクロード詩集を朗読、参加者46人のうち31人が散文詩に挑戦し、優秀作品にシルクロード文学賞が贈呈され、キルギス文化大臣賞が加藤九祚さん(国立民族学博物館名誉教授)に、在キルギス日本大使館特別賞が、贈られました。またキルギスと日本の国交15周年を記念して民間ベースで開催された今回のフェスティバルには日本の凧の会会員6名も参加し、イシククル湖畔のボコンバエヴァ町の児童300人余り、首都ビシュケクの児童300人余りを対象に凧作りのワークショップと合同凧揚げ大会を開催、玄奘三蔵も訪問したアクベシム遺跡(旧砕葉城)でも連凧を揚げるなど今後の交流発展を希望しておこなわれたフェスティバルに花を添えました。科学アカデミー会議場では、地下資源依存型の現代社会から太陽エネルギーを活用した自立型循環型社会への移行をテーマとした環境セミナー「アジアの時代と太陽水素村」も開催され、キルギスの水素エネルギー研究者、環境保護団体関係者など70人が参加質疑も盛り上がりました。
アジアの十字路、シルクロードのオアシスと呼ばれ、太陽と水の豊かなキルギスでアジアの芸術交流を軸とした観光振興を活発化させるため、地元の家族が受入の中心となる「シビチ」(住民主導型観光協会)と民族アンサンブル「オルドサフナ」が運営の中核となる「太陽芸術村アジアの瞳」(アイル・クン・チェベル・アジアヌン・カレギー)創設が合意されました。 |