社団法人「日本機械学会」は6月で創立110周年を迎え、その記念事業として、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本国内の機械技術面で歴史的意義のある「機械遺産」を8月7日の機械の日に認定した。
認定された25件には、中央区の文化財に指定されているミズノプリンティングミュージアム所蔵の平野活版製造所製作の印刷機も含まれている。また、今月21日より始まるIGAS2007(国際印刷機材展)において、同印刷機が会場の入口に飾られることになった。ミズノプリンティングミュージアム館長の水野雅生氏は「国産最初の印刷機をタイムリーに展示できることを大変光栄に思っています」と話している。
機械遺産をまとめた冊子は同印刷機の内容と価値を次のように紹介している。
「印刷手順は、インクを盛った組活字板の上に紙を置きそこにチンパンと呼ばれる上蓋をして、本体下部にある木製の円筒(シリンダー)に巻きつけた革のベルトによりプレス場所へ移動させる。人力でレバーを引くとプレス部分は加圧・印刷され、レバーを放すとスプリングで上へ戻る仕組みである」
「この印刷機を製造した平野富二は、その師の本木昌造とともに日本における近代活版印刷の嚆矢ともいえる人物である」「このアルビオン型手引き活版印刷機は、明治期盛んに用いられたものの、国産で現存しているものは数台だけである。中でも、明治初期の平野活版製造所製の印刷機は、本機が確認されるのみである」 |