恒例の「中央区能に親しむ会」が、6月10日の日曜日、午後1時から千駄谷の国立能楽堂で開演する。当日は開演に先立ち、能に親しむ会の会長をつとめる立石都議が挨拶して、矢田区長が祝辞。また大東文化大学の三上紀史教授が演目の内容について、わかりやすく解説する。
「能に親しむ会」は毎年開催されていて今年で22回を数える。当初はPTAを中心にして発足して、中央会館で公演し、晴海ではたきぎ能として人気を集めたこともあるが、最近は国立能楽堂に定着している。本格的な能を格安で楽しめるとあって、ファンも多い。
能役者の中村裕氏の肝入りで、区内の有志が広告を集めて手作りのプログラムを作成しPRしている。実行委員長の中村健郎氏はその中で次の様に記している「この会も回を重ねて、曲目も静かで優雅な物から、勇壮で激しい物まで名曲が演じられています。そしてそれぞれが人生の悲哀などを扱い、洗練された奥深さやしっとりした親しみ易さも兼ね備えています」
入場料=指定席7千円▽自由席5千円。問合せTEL3590-3001、3531-0976。
演目は次のとおり。
能 清経(きよつね)
都を落ち西海をさすらう平家一門のうち、平清経は前途をはかなみ入水して果てます。清経には都に相思相愛の妻がいました。知らせを聞いた妻の悲しみは深く、一人残された恨みはつきません。涙にくれる妻の夢枕に清経の霊が現れ、妻を慰めると、月下に念仏を唱え暁の海に入った最後の有様を語って聞かせるのでした。
狂言 伊文字
霊験で妻を得ようと、主人は太郎冠者を連れ清水寺に参詣します。夢のお告げで出会った女に住まいを聞くと、女は和歌で教えて姿を隠します。ところが主従は肝心の和歌を忘れてしまい、なんとか思い出そうと、通行人をつかまえて和歌について色々たずねますが…
能 砧(きぬた)
在京が長引く夫の帰りを待つ妻のもとへ、近々帰郷するとの伝言が届きます。秋の夜長、妻は中国の故事にならい夫を慕って砧を打ちますが、そこへ届いた今年も帰れぬとの知らせに落胆し嘆き死にます。帰郷した夫が妻の供養を営むと、恋慕の妄執にひかれた妻の亡霊が現れ恨みを述べますが、読経の功徳で成仏します。 |