11月定例区議会の各会派代表による一般質問は24日と27日の2日間にわたり行われた。来年4月の区議選・区長選を意識しての質問も多かった。質問に立った議員は、民主党・区民クラブの守本利雄、自民党の矢吹和重、今野弘美、公明党の田中公一、植原恭子、共産党の鞠子勝彦、志村孝美、グループ未来の大塚忠彦、環境福祉クラブの田村宏の各氏。
守本 利雄議員
都区双方のトップ級による検討をふまえ今日の「都区のあり方」をただした。矢田区長は「事務移管をさらに進めるでは一致した」ものの、都側の23区再編とは「一線を画している」と、都区の認識のちがいを説明した。
防災区民組織、防災拠点運営委員会の今後の充実方策を質問。区長は区民組織は新規の加入を増やす施策に力を入れ、全拠点に設立された拠点運営委員会については、拠点ごとの活動マニュアルとPR用パンフレットの作成などに取り組むと答えた。
「早寝・早起き」の生活習慣が重要である医学的根拠を説明し、人口増の中央区に夜型化への対応は喫緊の課題と指摘。平野教育長は、朝食は一定水準にあるが、朝寝むくて起きられない子は本区の小学4年で18%、中学1年で31%と説明、今後、地域と共に家庭教育の改善を支援していくと答えた。
矢吹 和重議員
名橋日本橋の上を走る高速道路の地下化が実現しようとしていることについて、容積の移転の法的根拠、その際の東京駅前開発との関連についてただした。
区長は容積移転の範囲を、「室町から京橋に至る日本橋・東京駅前を考えている」として、「範囲が広くて、現行の都市計画の手法では対応できないので、国は新しい仕組みを作るため、プロジェクトチームで検討中」と説明。
また川岸の空地化をすすめるため区として、現在、モデル地区を定めて地元と協議している現状を説明し、9月に発足した日本橋再生推進協議会での議論を通して地元と一体となって実現に向けて取り組んでいると答えた。
今野 弘美議員
昨年5月に発足した第5次政策調査会が9月にまとめた提言と基本計画の関りについて質問。区長は来年度で終了する基本計画を新たに策定すると同時に提言の趣旨は新年予算に反映すると答弁。
子どもの医療費助成について与党会派の要望をふまえて取り組みを質問。区長は与党会派の要望(子ども医療費の拡大)をふまえ、中学3年までの通院費に拡大するよう新年度に具体化すると約束。
平成16年3月で閉館した労働スクエア跡地について、区は土地の購入をふくめて積極的な対応をすべきと質問。
区長は六千平方メートルをこえる貴重な公有地で、都は来年6月以降に売却の方針なので、子育て支援など人口増の課題に活用できるよう土地の購入も視野に入れて検討していく方向を明らかにした。
通学区域の弾力化で児童数の減少が予想される中央・明石・明正の3校の校舎改築の行方をただした。教育長は、3校が隣接していることをふまえて改築スケジュールを検討していくと答えた。
田中 公一議員
魅力ある文化振興策のため本区独自の文化芸術振興条例の策定についてどう検討しているかをただした。区長は、今年度に文化振興に関する懇談会を設置して基本的な方向を明らかにしていくとし、条例策定はこの懇談会での議論をふまえ検討すると答弁。
図書館は生涯学習をふくめて区民サービスの向上が求められるとして、目指すべき方向を明らかにした図書館の基本構想を策定するようにと提案。教育長は京橋・日本橋・月島図書館は各地域の特性に対応する方向にあり、特に郷土天文館との連携を強化していく方向を示し、施策において具体化していくとの考えを説いた。
さらに図書館を地域情報の交差点としてビジネス支援を取り入れるよう要望した。教育長は図書資料を館相互(都など)の検索・貸出しに応じており、事業案内の収集にもつとめると答えた。
植原 恭子議員
10月にスタートした中央区の森について、京都府亀岡市の事業を紹介した上で、教育委員会が積極的に関り、民間団体も参加しやす事業を構築すべきだと提案した。区長は今後、自然体験、森林ボランティアなど区民、事業者が参加しやすい仕組みをつくるとの方向性を示した。
都が打ち出した校庭の芝生化に中央区も積極的に取り組むべきだとして区の見解を求めた。
区長は中央区の校庭は狭くて多目的利用もされていて芝生化に適さない実情もあり、また本区は屋上の緑化に努めているので、今後検討すると答えた。
勝どき5・6丁目は平成20年に2800戸の超高層マンションが出現するが、公共施設の行方を質問。
区長は、開発に認可保育園の整備もとりこまれており、環2にともなう開発もふくめて、今後、地元の住民と話し合って整備のあり方に対応すると答弁。
鞠子 勝彦議員
社会教育・社会体育事業の区長部局移行について教育委員の議論が本当に尽くされたのかと批判。区長は生涯学習のニーズに適格に対応するためと説明。
学校選択制度の導入で、今地域では、あの学校は良くないとか良いなどの評価が始まっていると指摘。教育長は、学校の序列化や地域との関りから「隣接校選択制や小規模特校などの方策も検討する必要がある」と説明した。
月島3丁目のサンシティ銀座イーストが高齢者マンションと化し、区との合意に反していると指摘。区長は7階から29階は一般住宅として、チラシにも年齢制限しないと明記しているので合意に反してないと説明した。
区内巡回型コミュニティバスを要望。区長は交通利便制が高く、一方でメトロリンク日本橋が定着しているが、高齢者や施設については検討していくと答えた。
志村 孝美議員
今、世界に平和と進歩の流れが広がっているとしてイラク戦争との関りをどう考えるかと質問。
区長は世界各地で戦争で亡くなっている人の多い実情から「平和と進歩の流れ」という世界観はおかしいと指摘、平和は願いだが現実を直視すべきと主張した。
環状2号線の地上化と築地市場の移点に反対の意見書を都に提出するよう要望。区長は環2については地元の意向をふまえ、適切な時期に意見や要望を提出するとし、市場については新しい築地をつくる会として都との協議が進むよう働きかけると答弁。
デモや署名運動をすすめる「市場を考える会について見解を求めた。
区長は、豊洲の土壌汚染は食の安全に逆行するとして移転反対で結成されたとの認識を示し、土壌汚染については来年3月の処理完了時に「しっかりと確認してまいりたいし、その後もチェックしたい」と説明。
大塚 忠彦議員
人口10万達成で特別区民税が平成10年の95億円から18年度は161億円に伸びているとし、「区長は人口のことばかり言うと批判もあるが、金のことを言うといやしくなると思っているからであって、この金をどう使ったら区はよくなるのか」とただした。区長は新たな課題への対応とともに、オリンピックも視野に入れて、新年度には基本計画を改定し、簡素で効率的な執行につとめていきたいと答えた。
放課後の子どもを守るプレディを評価したうえで、専門の警備員を配置し、子どもに危険感覚を養わせる必要性を説いた。
教育長は職員や地域サポーターで対応すると答弁。
災害時の初動態勢が、区民部の防災課、総務部の危機管理室で組織・命令に齟齬をきたさないかと指摘した。
請願について、採択したものを行政はどう活かしたか今後はきちんと説明するべきと注文をつけた。田村 宏議員
在宅介護の充実をはかるため「福祉110番」を設置して福祉情報のネットワーク化をはかるようにと提案。区長は昨年7月から随時訪問介護を行うナイトサポート事業を開始しており、昼夜を問わないサポート態勢は不可欠、との考えを示した。
赤ちゃん天国を日曜祝日にも開館し、年中無休でニーズに対応するよう求めた。区長は来年開館の「子ども家庭支援センター」の子育て交流サロンは日曜日も開設の意向を示した。
公立中学校の評価が凋落している実情で、このまま抜本改革を怠ると公教育の信頼は維持できないし、市場原理には永遠に太刀打ちできないとして、見解を求めた。教育長は私立学校や中高一貫教育を見学するなどの努力を示したうえで、区費負担講師の導入や学校評価の充実をはかるなどしていくと答えた。 |