人形町1丁目芳人町会(高野亨士会長)は、夏季の納涼をかねて地域の企業人などのセミナーを毎年開いている。8月29日には、ITと老舗の会社代表取締役から貴重な話をうかがった。
箱崎の「アクセル」社長の草川定雄氏は松山の愛光学園から防衛大学の航空工学科を昭和44年に卒業してIT業界に入った異色の人材。冒頭に「2人の狩人が熊にあって、一方が逃げると言うと熊にかなうものかと言われるが、それに『おまえさんより速く走ればいいんだ』と切り返す」というエピソードを紹介。ここに競争の原理があるというのだ。つまり競争とは弱肉強食ではなく、価値あるものを作ることであって、いいものを作るまで競争は続くのであって、基本的には公平で、そこに究極のハイブリットが生きるという。草川社長の原理は「ハイブリットによる進化」で、たとえば社員には、他のメーカーの悪口は言うなと言っており、「発覚した時は辞めていただいている」とセールスの厳しさも説明。さらに人形町については「タックスベイヤーで、国をあてにしない、自分の褌で相撲とる」と評価した。
人形町で4代目の中山一晃氏はブルーミング中西の社長で創業(中西儀兵衛商店)は明治12年、葺屋町でステッキなど洋風雑貨卸商とスタートして127年の老舗。父の3代目は戦争まで地域とあまり交わらなかったので強制とり壊しにあい、建て直しに苦労した経験から「人形町を大事にしろよ」と言い続けた。苦しい時代を生きのびたのは、デザイナーとクリエーターを使って自作のものを売ってきたからという。今では呉服がすたれているが、その技術がインドから東南アジアに行こうしている。機械文明からハンデクラフトの時代に入ってきたとの認識を強調、自らの人生感を「健全にやっていると、楽にすごせる」と。
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