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■ 9月4日発行  このページの先頭へ
日本の新しいまちづくりの創成を
名橋「日本橋」頭上の高速道路撤去で提言

 名橋「日本橋」の上を走る高速道路を移設する方策を検討するよう、小泉総理が昨年12月、有識者会議「日本橋川に空を取り戻す会」(日本橋みち会議)を発足させた。同会の最終会議が8月23日に開かれ、報告書が明らかにされた。最終報告書は今月15日、小泉総理に提出されるが、そこでは首都高の江戸橋―竹橋間の約2キロ区間を地下数メートルのトンネルに移設するよう提言する予定。今回の報告書では、高度成長期のまちづくりはひとまずその使命をはたし終え、心の豊かさを育む、「わたしの街」として愛し、世界に誇ることのできる街が求められているとの認識を明らかにしている。そのことを、日本国の道路の起点で取り組むことの意義を強調し、「日本橋川に空を取り戻すことは、日本橋が再び、日本の未来への起点となることである」と目指すべき目標を示している。この提言にもとづいて、日本橋川沿いの権利変換(容積移転)を具体的に検討するための調整組織をたちあげる予定だ。今回報告された「基本的考え方」と「提言」は次のとおり。

地元は検討組織を準備

基本的考え方
 <品格あるまち>高度成長期のまちづくりから、日本橋の歴史・文化・伝統を活かした、品格のあるまちづくりを行う転換の時期である。品格あるまちづくりは、都市再生の効果を全国的に広げるために不可欠な施策である。
 ◇キーワードは品格。美しさと奥ゆかしさのある大人の街、香り立つ品格と包容力をそなえた「大人の街」へ
 <世界的なプロジェクト>世界でも高水準の我が国の土木技術や新しい総合的な基盤整備手法を都市空間の再生に活かすことは、我が国の都市政策に必要である。
 ◇キーワードは交流。人と文化が行き交う賑わいの街へ
 <江戸文化・伝統の発信>国際都市として、また、アジアを代表する中心都市として機能するためには、江戸文化・伝統を体現する街として、世界の都市日本橋へと認知の輪を広げることが必要。
 ◇キーワードは調和。自然と人が共生し、歴史と先進性が共存する調和の街へ
 <創造的破壊で新しい環境づくり>機能や効率重視で進め、我が国の高度成長を支えた社会資本は更新時期にきている。未来永劫にわたる国民の安全・安心で快適に暮らせる新しい環境を創造するためには、施設の維持管理だけでなく、寿命や疲労の現状を鑑み、抜本的な見直しも視野に入れた社会資本の再整備が必要である。
 ◇キーワードは持続。継承と変革のなかで、持続的に発展する街へ

7つの提言

 国際都市としてふさわしく日本橋地域のまちづくりを実現し、将来の安全でゆとりある国民生活を支える社会資本整備を進めるためには、新しい都市環境づくりの各種政策を進める必要がある。地元の積極的・自発的な参画のもと川・道・まちづくりなど各分野が協力し、総合的な事業実施に努め、世界の魅力ある都市「日本橋」に変わる必要がある。
 <文化都市への転換>後世に伝えるべき歴史・伝統を抽出し、新しい装いのもとで街自体を文化資源の生きたミュージアム空間とする。変えるべきものと変えてはならぬものを選り分け、伝統文化と先進性がともに息づく街づくりを行う。日本を代表し、首都東京の顔としての自負心のもとに、品格と「もてなし」の心配りが行き届いた、交歓と賑わいのある世界観光都市にする。
 <首都高の改築、移転>日本橋川の上にかぶさる首都高の改築、移設を検討し、創造的破壊という考え方のもとに日本橋地域の全体的刷新を企る。機能と景観に優れ、震災に強い、持続可能な都市東京として再生させる。
 日本橋川を軸とし、周辺地域とつながる広い空間(オープンスペース)をとった回遊性と劇場性のある街にする。川辺の歴史的建造物を修復保存し、建物の高さをそろえるなど、首都高の移設にともなう景観づくりを総合的な事業として推進する。
 <環境と共生する街>自然と人が共生し、職人的技(匠)とITなど最新技術、和のたたずまいと洋のモダンが調和した街。年齢・性別にかかわりなく、だれもが安心して、ゆったりと時を過ごすことのできる、ハードとソフト両面の整備と向上を図る。
 1日の移り変わり、四季の変化を感じ取れるような環境配慮型街並の整序こそが、日本的都市の新しいモデルとして追求されるべきである。
 <地域連携の強化>本事業は、地元の熱意のみでは、また行政側からの指導のみでは実現はむずかしい。国の強力なリーダーシップのもとに地域間の連携を強化し、多面にわたる協議機関、民間の活動組織との「協働」の精神で取り組むべき事業である。
 同時に、国民に広く知らしめるための、世論形成に向けた場づくりが重要である。そのためにも、全体計画にもとづいた側面支援、地道な広報活動は欠くことができない。
 計画実現には多くの時間と費用を要する。適切な状況把握のうえ、早急な着手が望まれる。
 <都市空間の再生>河川空間、道路空間、公園緑地空間などの公共空間だけでなく、私有空間など、川・道・まち・民地など、総合的に空間の再構築を行い、都市空間の再生を図る。
 <地域再生の効果>地元住民や地元企業が一応の負担をし、積極的・自主的に自ら地域のまちづくりを行うことにより、地域に賑わいや潤いをもちらし、地域経済の発展、雇用の創出などに寄与することが期待できる。
 今後の我が国の地域再生はこのような地元が事業の一部を負担する官民協働となった事業実施とこれを支援する仕組みづくりが必要である。
 <フォローアップ>当研究会の提言について、政府において早急に必要な検討を行い所要の措置をとり、また、その実施状況を適切にフォロー・アップするため所要の体制整備を図ることを、強く期待する。

 
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