銀座の「路上能」として知られる能楽金春祭りが8月7日の月曜日、午後6時から開演する。銀座8丁目の金春通り会と社団法人・金春円満井会がタイアップして昭和60年に始めて22回目。
幽玄の響きをビルの谷間で味わえるとあって、毎回欠かさずに鑑賞するというファンも多い。会場は博品館の裏で当日は午後4時から金春通りで座席指定券を1人1枚、配布する。
金春通りのバーバリー銀座店前に仮設御旅所が設けられる。解説は井上貴覚氏。能奉行は矢田区長がつとめる。
演目は、延命冠者、父尉、鈴之段、弓矢立合。
「弓矢立合」は奈良の春日大社の御祭礼の行事として古くから演じられてきたもので、現在も毎年12月、通常「若宮さんのおん祭り」で一の鳥居の近くの参道で古式ゆかしく演じられているが、大社に奉納する神事として金春家がその役割をになっている。また、一緒に行われる「延命冠者」と「父尉」は、5月の興福寺薪能で演じられるものである。
銀座の演能は、能奉行の「能楽始めませ」で、延命冠者と父尉がそれぞれ面をつけ、まずは白式の装束で狂言方が演じる「延命冠者」で始まる。
続いて、同じく白式の翁装束に父尉の面をつけた「父尉」が、天下泰平、国土安穏を祈る。次に、3番三の「鈴之段」。鈴を振り、五穀豊穣を祈念してしっかりと足拍子で大地を踏む。そして最後は、シテ方が演じる3人大臣の「弓矢立合」になり、奉納能の儀式は終る。春日若宮の「松の下式」の能は、「開口」「弓矢立合」「三笠風流」の3本立て、興福寺の「咒師走り」の「翁」は、「12月往来」「父尉」「延命冠者」という組み立てである。つまり、銀座・金春通りの祭儀は、奈良の2つの行事の演出をつきあわせて構成されている。
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