明石町に80年もの歴史を有する私立聖ヨセフ幼稚園が来年3月で閉園する。
　大正13年、カトリック教会のフランス人ジロジアス神父により創立された。明石町のカトリック教会は明治11年、2500坪の敷地にゴシック式の建物として創立されたものの、関東大震災により焼失している。幼稚園は昭和18年、太平洋戦争のために一時休園を余儀なくされたものの、昭和22年4月には開園して今日に至った。ヨセフ幼稚園がその歴史を閉じると、中央区での幼稚園は公立のみとなり、惜しむ声も少なくない。
　ヨセフ幼稚園の関係者により「ヨセフ幼稚園後援会」が発足し、閉園にあたって『ヨセフ幼稚園80年のあゆみ』を発刊することになり、長い歴史の証とするために現在、資料の収集と年表の作成をすすめている。
　ところが激動の時代を経ているために現存する資料に乏しく苦慮しているという。特に太平洋戦争前の写真など、手に入らない。もし「お貸しできる写真があればご一報ください」とよびかけている。
　同幼稚園の後援会会長は、新富町の広川修司氏（広川時計店）、副会長はミズノプリテックの水野雅生氏がつとめている。問い合わせは、広川氏ＴＥＬ3551-0663、水野氏ＴＥＬ3551-7595、ＦＡＸ3553-7870。Ｅメールmizu@mizunopritech.co.jp
　ヨセフ幼稚園を経営する築地カトリック教会は、明石小学校の横にあり、教会堂としては珍しくギリシャ神殿パルテノン形式で建てられたことで有名。正面のドリス式列柱から一見石造建築に見えるが実は木造のモルタル塗り仕上げとなっている。
　前面は庭となっていて、幼稚園のすべり台などがあしらわれている。
　カトリック教会は厳しい戒律を今も維持しており、教育にたずさわる責任者は修道の教えをきわめて、結婚することは許されず、このため若い後継者が育ちにくく、閉園のやむなきに至ったという。園児の制服が魅力的で、惜しまれての閉園になる。