名橋・日本橋は明治を代表する建造物として国宝に指定されている。しかし、その頭上をまたぐ高速道路は名橋の景観を破壊するとともに日本橋川の命さえも奪っている。このため多くの人々から「日本の恥」として、この高速道撤去が声高に叫ばれだした。これを受けて小泉総理が経団連の会長ら識者を集めて「秋までに案を立てるように」と任命。地元はこれを大歓迎。期待をこめて、案の発表を待ち望んでいる。一方、矢田区長は区議会の一般質問への答弁で「区としては川べりの活用と高速道の活用が望ましい」と初めて具体策に言及、そのための方法にまで言及して注目された。自民党の鈴木久雄議員に答えたもの。一方、共産党の田辺七郎氏は高速道撤去で独自の案を提案した。
容積の移転などを検討へ
経済至上から脱却 権利の移転も提案
自民党の鈴木議員は、小泉総理の鶴の一声で発足した日本橋川に空を取り戻す会の発足までの経緯を述べるとともに委員長の伊藤滋教授が「これまでのまちづくりを反省し国民的な合意の得られる計画にしたい」の発言を紹介。しかしこうした動きも地元での働きかけがあって実現したものであると指摘。また、日本橋川の再生は「経済至上主義からの脱却を中央区から発信することになる」として、区の考えをただした。
答弁の冒頭で矢田区長は、「日本橋川上空の首都高速道路は、経済性や効率性が求められた20世紀の負の遺産である」として、地元の長年の夢であると同時に、区の目指す、人が主役のまちづくりのため、「必ず実現するという強い意思で臨む」と明言。
また5つの案に対して、区長は「区としては、地域環境や景観から、日本橋川に沿った岸辺の空地下と高速道路の地下化による整備が望ましいと考えている」と具体的に示した。そのために「東京駅前など隣接地域の再開発と連携して権利や容積の移転など、河岸街区や開発地域の権利者の協力が得られる仕組みづくりを検討していく」との方向も示した。
高速道分断を提案
共産党の田辺議員も、名橋「日本橋」上空の高速道撤去に言及。
この高速道を推し進めた人たちに反省を求めるべきであり、またスカイラインを破壊し青空を奪う、安易な「容積率の移転」は行うべきでないと主張。そのうえで「高速道路の付け替えで、新たな巨額の税金の投入ではなく、高速道路の一部を廃止して日本橋川を再生し、日本橋川の水辺の空間を取り戻す道を進めるべきである」と独自の提案を示した。また都心への車の乗り入れ抑制についても、その必要性を説いた。
しかし区長は、現実に機能を果たしているものを分断して廃止すること、都心の車両が減少することは歓迎ではあっても、いずれも果して実現するものか、と疑問をさしはさんだ。
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