「耐震強度偽装」の問題は住民の安心安全の根幹に関ることだけにマスコミ等で大きく報道され波紋をよんだ。
中央区では、茅場町のホテルと新川のマンションが取り沙汰され、そのうちホテルは年内に取壊しの作業が始まった。
さらに中央区は、小網町のマンション(8階建て15戸、平成16年2月竣工、建築主グランビル、設計施工=シノケン)が、11月28日に「構造計算書の偽装なし」と報告したが、12月に入って国土交通省から再計算による検証の依頼を受けて区が委託調査したところ、耐震強度が疑しいとの報告を受けた。このマンションの建築確認は中央区が取り扱ったもの。
このことについて矢田区長は次のコメントをマスコミに明らかにした。
「このたびは、中央区の建築行政に対する信頼を著しく損なうこととなり、深くお詫び申し上げます。今後は、居住されている方の安全確保と周辺の方々の不安解消を最優先に、国及び東京都と連携を図り、迅速かつ適切に対応してまいります。また、今回の耐震強度偽装問題に関与した疑いのある企業が関わった物件について、構造計算の再検査を実施するなど構造安全性について再点検するとともに区としての審査体制の強化や審査能力の向上など、再発防止に向けて区を挙げて取り組んでまいる所存です」
区は区議会に対して、姉歯建築設計事務所の扱った物件は4件あり、全て耐震に問題はないとの説明をしていたところから、問題を重視して区長コメントの発表になったものだ。
一方、新川のグランドステージ茅場町の居住者への対応について、区は次の対応を住民に明らかにした。
<家賃助成>国の家賃助成対象額(月額)を上限の20万円とする▽住生活の専有面積は70平方メートルを基本とする▽区の地域特性を考慮し、区の追加助成を行う▽敷金は自己負担とする。
<助成期間>家賃の助成期間は原則2年間とする▽戻り入居しない者については、仮住宅を退去するまでの期間する。ただし、建替を事業に参加しないことが売買契約により確定してから3か月を限度とする。
<移転費>1戸当たり25万円以内の室費用とする▽原則として仮住居入居、戻り入居(または仮住居退去)の2回とする。ただし、特別な事情がある場合はこの限りではない。
<仮住宅の確保>区民住宅5戸=勝どき3丁目のグリーンホームズI及びII▽UR賃貸25戸=新川2丁目のリバーシティ21新川、佃2丁目のイーストタワーズ。
なおグランドステージ茅場町の住民は矢田区長に12月1日付で要望書を提出した。この中で今回の事件で住民は被害にあって路頭に迷いかねないとして、税の免除、解体の公的支援、教育環境への配慮などを訴えていた。
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