しばし丸の内の再開発が話題を独占していたが、東急百貨店跡地に日本橋コレドが登場して以来、三越新館オープンなど日本橋のニュースが相次いでいる。話題の中心は、中央通りの38階という超高層ビルで、この建物による次の変化への期待が地元には大きい。それを告げるかのように三越のはす向いには三井越後屋が江戸の姿そのままに復元された。情報のキーステーションの場を提供して人気を呼んでいる。来年3月までの限定オープンも話題に。そしてなにより三井新ビルにマンダリンホテルが12月にオープンすることで、地元の期待がいっそう高まっている。銀座に世界のブランドが集まり、丸の内に続々と超高層ビルが建つに及んで、日本橋が低迷していると言われて久しい。高島屋前の丸善も新しいビルを建設中で、来年にかけて日本橋が新時代に突入していくのではないかとみられ、次なる動きが注目されている。
38階の超高層
室町2丁目で建設中の超高層複合ビルは、「室町三井新館」と称し、三井本館を重要文化財として保存しながら都指定の「特定街区」の指定を受け建設された。地上38階、高さ約192メートルのビルについて「日本橋ネット」は次のようにそのコンセプトを紹介している。
「デザインアーキテクトはシーザーベリ&アソシエーツが担当し、低層部は三井本館との調和を図った重厚なデザインとしつつも、高層部へ移るにつれてガラスを用いた先進性のあるデザインになっています。また、建物内部の設計・設備・仕様に関しては、『働く人に1番の場所であること』という“ワーカーズファースト”の思想にもとづき、開放感あふれた快適なオフィス空間の実現や情報通信対応、耐震対応、高度なセキュリティシステム対応など、最先端のスベックとなっています」
さらに三井本館との対応については次のように説明している。
「思考の原点は、この偉大な歴史的建造物が室町にもたらしてきた記憶、品位、誇りを受け継ぎ、さらなる発展へとつなげる意識である。この歴史的建造物が保持している機能、形象、時が刻む風合い、といった側面のひとつひとつとの対話がこの建築を立ち上げていくことになる。銀行という閉じられた本館の機能は、新館のアトリウムという公共性の高い機能へと意向していく。ネオクラシズムのプロポーション原理を失わない透明性が達成される」
本階の4階と新ビルの4階が連結されて新旧ビルの融合を図っている。
5〜28階までは働く人たちの空間で、すべての人に優しいビル作りのため、改正ハ―トビル法の認定も獲得している。同法は高齢者や身障者にも使いやすくすることを定めたもので全ての規準をクリアしたことになる。
マンダリン登場
新しいビルの話題はマンダリン・オリエンタル。新ビルの30〜38階に入居するのが香港をベースとするマンダリン・オリエンタルホテルの東京初登場となる。
ニューヨークのセントラルパーク近くにできたマンダリン・オリエンタル・ニューヨークは、従来の西欧一辺倒の仕様からアジアンな印象を残して話題を集めた。そこで、東京でもアジア系のラグジュアリーホテルとして、アメリカ、ヨーロッパ資本とは一味違った内装が期待されている。そして「日本橋ニュース」も次のように期待をこめている「国際的に高い評価を受けている世界的ラグジュアリーホテルグループが進出することにより、国際感覚豊かなビジネスマンや観光客が日本橋地区に来訪し、伝統的な老舗と融合することによって、新たな賑いをもたらす」
フロントを最上階に置くことでも地元では話題もちきりである。
越後屋が蘇る
10月10日、三越デパート前に、三井越後屋ステーションがお目見え。三井第3別館の1階を、江戸時代の呉服商で当時の流行の発信地であった三井越後屋の外観をかたどって日本橋らしい江戸情緒をかもして評判だ。のれん、屋根から照明に至るまで凝った演出をほどこしている。
来年3月までの限定オープンで、次の施設を有している。
<越後屋カフェ>日本橋の新しい憩いの場。日中はドリンクやスイーツ、健康志向のランチや日本橋老舗のお弁当などを提供。越後屋カフェならではのオリジナルメニューも。
ディナーはお酒も飲めるアミューズメントバーに。
<にほんばし案内処>日本橋に関する質問やおすすめ情報をナビゲート。
<にほんばし屋台>日本橋の老舗の逸品を販売。
<基角堂コレクション>日本橋生え抜きのコレクター・基角堂山人の秘蔵を展示。
|