石原都知事は都議会定例会の始まった9月20日、冒頭に施政方針を明らかにした。
　その中で初めて東京オリンピックの招致についてを最後にとりあげた。内容は別掲のとおりで、成熟した都市の開催を以って日本の存在をアピールする絶好の好機となる、と主張。さらに、21世紀の東京五輪は「日本ならではのまったく新しい価値感を提示することができるはず」と、新たな視点についてもアピールしている。このオリンピック開催により、それを起爆剤に日本の閉塞感を打破できると断言。10月には準備組織を立ちあげると言明した。
　再び東京でオリンピックとなると、気になるのが名橋日本橋の頭上を覆う高速道路。東京オリンピックの前の年に開通したもの。高度成長の産物とは言え、国宝となった名橋の頭上に高速道は東京の恥として架け替え運動を展開中。知事提案で高速道撤去にはずみがつくのではないかと地元の期待が高まりそう。
石原知事の施政方針
　快晴の空の下、神宮の杜の国立競技場に聖火が灯されたあの日から40年余り、東京は、政治、行政、経済そして文化の諸機能が高密度に集積する世界に類を見ない大都市に発展いたしました。
　今日、再び日本でオリンピックを開くとすれば、都市のキャパシティや都市機能の充足度、さらには国際イベントの開催実績などから考えて、この東京を置いて他にはあり得ません。成長を遂げ成熟期に入った都市での開催は、発展の途上にある国での大会とは異なる意義を持っており、成熟した都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会になると思います。
　21世紀の東京五輪では、単なる国際的なスポーツ大会の枠を超えて、膨大な都市施設のストックを有効に活用するとともに、我が国の高度な技術力や多様な歴史文化の蓄積とスポーツを組み合わせ、日本ならではのまったく新しい価値感を提示することができるはずであります。
　招致を実現するには、国際的な都市間競争に国家の総力を傾けて勝ち抜かなければなりません。
　東京都だけの努力には自ずと限界があり、国を挙げてのバックアップと周到な戦略が不可欠であります。
　オリンピック開催を起爆剤として日本を覆う閉塞感を打破するためにも、是非、日本の首都である東京に招致したいと思っております。来月には庁内に準備組織を立ち上げ大きな目標に向かって第一歩を踏み出したい。