自民党は日本をどう変えるのか
郵政民営化法案が参議院で否決されるや、小泉総理は衆議院の解散(8月8日)という挙に出た。その理由が、郵政民営化について「賛成」か「反対」か、「国民投票」で審判を求めるというもの。特定の政策で国民の信を問うことは初めてのことで、多くの有権者に驚きを与えた。その一方で「いさぎよい」と、小泉総理の決断を評価する声が少なくない。実際、世論調査では内閣支持率がアップしている。むしろ国会で対案を出せなかった民主党に厳しい目が向けられている。自民党は反対投票をした前代議士にそれぞれの選挙区で対立候補者を立てはじめた。マスコミはそれを「刺客」とよんで、あおりたてている。たまりかねた反対派5人衆が高齢にムチ打って新党を設立。その陰に民主党の小沢一郎氏の名前がちらついて、政局再編の様相も出てきた。自民党の反対派つぶしには「やりすぎ」との声も出始めてきて、選挙の流れが今後どのように変っていくのか注目されている。中央と台東、文京の東京2区は、2年前と同じ深谷・中山のデッドヒートが見もの。ところで、解散を仕かけた自民党は「古い自民党ではない」と強調している。何を変えようとしているのか、自民党の主張を抜すいしてみた。
郵政民営化は改革の本丸 改革のめざすもの
「小さな政府」とは、官が民の邪魔をしない政府のことです。官の組織を小さくして官が使うお金を減らします。官の規制や許認可を撤廃して民間が仕事をしやすくする。
小さな政府を実現し、個人が自由に活力を発揮できる社会の中で、新しい技術・サービスを核とした起業・創業を支援する。そして、経済と産業の国際競争力を強化し、民間主導の経済成長を持続させ少子高齢化の中でも、国民の活力はできる限り小さく、国民の活力はできる限り大きくそれが小泉改革の目指す「小さな政府」です。
官が小さくなっても、「安心」は失われない。許認可からチェックへ。官が民の邪魔をしないで、安心、公正、安全な社会をつくるには、チェック機能を充実させることが大切。自由経済の中で安心して生きていくには、ルールと秩序、不正の摘発と厳格な監視が不可欠。そこで、官の役割を市場の監視や不正の摘発取締まりなど、ルールと秩序を維持する「番人」型に転換する。
こうして、民間活力を増進させる規制緩和を進めると同時に、国民の暮らしの安全と安心を守り抜く。
真の地方自治を
21世紀の日本は、「小さな政府」によって、地方が主役の時代になります。
小泉改革は、地方にできることは地方にまかせる。補助金改革、税源移譲、交付税改革を一体とした地方分権改革を進めている。
同時に、地域住民に理解を得られる自治を行うために地方財政の健全化、民間と比べて高すぎる公務員給与の削減、本当に必要な仕事の財源負担を地方住民にお願いする課税住民主権の発揮など、地域に根を下ろした地方分権改革を推し進めていく。
また、将来はより大きな権限と財源、責任を地方に移譲し、「国から地方へ」役割分担を移す。このため、道州制の検討と、その先行的試みとしての北海道州制特区を推進します。
小泉改革の成果
長く経済を苦しめた不良債権問題は、小泉政権下でトンネルを抜け出しGOPは実質、名目ともプラスに転じた。最悪時5.4%だった失業率は4.2%まで大きく改善、一時7,000円台だった株価も12,000円台を窺う勢い。企業収益も過去最高の水準で伸び始めている。デフレ経済からの脱却も間近となった。
この間、公共事業予算を大幅にカットした。政権初年度の予算編成で対前年比マイナス一0.8%としたのを皮切りに、2005年度までに4年連続で3%以上の削減を継続。「公共事業垂れ流し」で景気を回復していた時代は過去のもの。官の関与を減らし民間の力を引き出す改革が、新しい成長のエンジンとなることが明らかになった。
小泉政権の4年間、常に小さな政府の実現を念頭に、あらゆる改革に取り組んできたが、公的部門の改革はいよいよこれからが本番。官の改革を一気に加速するその本丸が郵政民営化です。
官から民への本丸
明治維新以来の大改革と言われる、郵政民営化。
郵政民営化は財政、金融、特殊法人をも含めたすべての官の機構改革につながる、改革のまさに本丸です。なぜ、“本丸”なのか。
それは、郵政民営化によって官の事業が縮小し、「小さな政府」への流れを確実なものにできるから。同時に郵政民営化によって、官の事業の民間開放が進み、民間資金需要を増大させ、340兆円の資金が官から民間経済に流れていく。郵政民営化は、これまで誰も実現できなかった官のリストラと、民間主導の経済活性化を実現する、歴史的大改革なのです。
郵政を民営化しても、利用者である国民の利便性は変わらない。
いまある郵便局は民営化後も、現在とほぼ同じネットワーク水準が維持されます。預金や保険の金融サービスも引き続き提供される。むしろ現在よりも利用者のニーズに応じた、サービスの選択の幅が広がるようになる。
郵政民営化について「地方は過疎化し、疲弊しているのに、切り捨てるのか」という反対論がある。本当にそうでしょうか。地方衰退の真の原因は、地方の隅々まで官の規制が及び、がんじがらめにされているからです。
改革は、何とか7合目まで来た。しかし、もしいま改革の手をゆるめたら、登ってきた道を再び転げ落ちることになりかねません。そして再び登ることはとても難しくなるのです。
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