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■ 8月8日発行  このページの先頭へ
問屋街でカレッジ、銀座でシンポ

 商業の発祥地と自認する中央区は、日本経済を支えてきた商業メッカともいうべき場所を所有してきた。証券街、問屋街、東京駅前を中心とするビジネス街、築地市場、銀座、地場産業としての印刷業など。それらいづれもが、現在、大きな曲がり角に立たされている。食のシンボルとされてきた築地市場は70年以上の歴史に幕を降ろそうとしている。堀留の問屋街にはミスマッチといわれる高層住宅が次々と建った。バブルが崩壊してのち長びく不況のなかで流通も業態も大きく変ってきた。それへの対応を余儀なくされている実情だ。盛況を誇った飲食業界も大きく変化したし、街のホットオアシスの喫茶店はほとんどその姿を消しつつある。その一方で、高層住宅に次々と新住民が移り住んでくる。中央区のまちはどうなっていくのか。そういう中で自らのまちを考え直そうという動きもおきている。日本橋問屋街では官民学のコラボレーションを展開して3年目となり、実験の最終年にあたり、このほど問屋の若手が集まり、オープンカレッジを開講した。一方、銀座では超高層ビル計画に対抗して銀座という街を問い直すシンポジウムを継続的に展開している。これら2つの試みをスケッチしてみた。
 日本橋問屋街が区の協力を得て文化服飾学院と提携して活動を始めて3年になる。問屋街活性化委員会はこのコラボレーション活動の一環として「オープンカレッジ」を開講。7月28日と8月4日の2回に分けて11回目のカレッジを開いた。講師は文化服飾学院の山村貴敬専任教授で、テーマはアパレルマーチャンダイジングの手法と実務演習。
 問屋街が学生と連携することによって、ファッションショーなどイベントを開催するだけでなく、学生との交流が問屋の経営者を刺激して新たな発想を啓発するようになったと評判。学生たちも問屋街を見直し就職する卒業生も出てきた。
 流通業界の変化は急速で、従来のように小売−問屋だけでは集約されなくなった。業態そのものが多様化してきたために、まとめて安く購入できる現金問屋を見直す傾向もでてきたという。問屋も横の連絡をとることで商品開発も可能となるなど、構造改革が求められているともいう。
 こうした変化の時代にあって、オープンカレッジには各問屋から多くの若い社員が参加。講師は、「次に何が売れるかについては現場にいる人には分かる。コピー商品がいつ出るか、追撃には大手が強いもので、このあたりの見極めが肝要」と説き、そのためにも何をどのように売り、展開していくかについて訓練するため、実務演習として、ターゲット生活者、ブランドポジショニング、ならびにブランドコンセプトを画用紙で表すマップづくりに挑んだ。
 雑誌を切り抜いて貼って自らの求める戦略を表現することに参加者は真剣だった。
 カレッジに参加した宮入正英社長は「ファッションは感性だけでない。何を売るかについてトータルな戦略が必要で、こうした実習は役に立ちます。こういう積み重ねで、問屋街も共通の言葉を持てるようになるといいんですが」と話していた。
商店街の銀座を考える
銀座街づくり会議の主催
 銀座では昨年来、松坂屋の改築に森ビルがデベロッパーとして関与し、デパートと裏側もふくめた超高層ビルを計画していることが明らかとなり、話題をまいている。先行して底地買いやビルの買収も進行していることも周囲に不安を与えている。
 このため「銀座街づくり会議」を発足させ、全銀座会や銀座通連合会とタイアップして、銀座の街のあり方について多角的に検討することになり、シンポジウムを開催。あるいは大学生のプランニングも開いたり、美大生のショーウィンドープランを募るなど意見を集録している。
 銀座通りは、ニューヨークやパリの大通りほどに道路幅は広くないものの、ビルの高さがいつしか揃うようになってきて、看板も自粛するなど開放感を与える街並みとして好評を集めてきた。
 その一方で、東京ではいち早くビル化されたために、その後の法律に不適格なビルとなってしまった。このため、ビルの高層化も認められたものの、現行のサービス容量を満たせないなどの現実的問題も生じている。区は地区計画の見直しや駐車場の集合化などの対策を進めている。
 3日に開かれたパネルディスカッションのテーマは、にぎわいを呼ぶまちづくりとは?で、京都府立大学の宗田好史助教授が基調報告。京都も時代の変化への対応が迫まられたが、その時に武器になったのが長年に培われてきた人的コミュニケーションだったとして、古い建物の活用例などを例として示した。
 ディスカッションには、NTT都市開発の渡辺敏幸氏、銀実会の渡辺新理事長も加わり意見交換した。
 森ビルによる松坂屋再開発ビルには危惧の念が多いが、銀実会の渡辺理事長は「超高層ビルを認めると次々と建つことになる」との懸念を示した。宗田氏は、用途の変更など多角的な対応もあってよいのではないか、などと説明していた。

 
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