銀座の恒例行事「能楽金春(こんぱる)祭り」が、今年は8月7日の日曜日に開催される。
銀座8丁目の中央通りより一筋西側の通りを金春通りとよび、江戸時代、この一体に能楽金春流の屋敷があったことに由来する。明治以降は金春芸者の往きかう花柳界で知られた。
この通りの商店が集まり「金春通り会」を発足させたのち、能楽金春流家元と交流する中から「路上能」が発案され、夏の夕暮、銀座のビル街に幽玄の世界をつくり出すことが恒例行事となって今年は21回目。
7日午後6時から能楽番組が開始する。
「弓矢立合」の由来
「弓矢立合」は奈良の春日大社の御祭礼の行事として古くから演じられてきた。現在も毎年12月、通称「若宮さんのおん祭り」で、一の鳥居の近くの参道で古式ゆかしく演じられているが、大社に奉納する神事として金春家がその役割をになっている。
また、一緒に行われる「延命冠者」と「父尉」は、5月の興福寺薪能で演じられるものである。
銀座の演能は、能奉行(矢田区長)の「能楽始めませ」で、延命冠者と父尉がそれぞれ面をつけ、まずは白式の装束で狂言方が演じる「延命冠者」で始まる。
続いて、同じく白式の翁装束に父尉の面をつけた「父尉」が、天下泰平、国土安穏を祈る。
次に、三番三の「鈴の印」鈴を振り、五穀豊穣を祈念して、しっかりと足拍子で大地を踏む。
そして最後は、シテ方が演じる3人大臣の「弓矢立合」になり、奉納能の儀式は終了する。
春日若宮の「松の下式」の能は、「開口」「弓矢立合」「三笠風流」の3本立て、興福寺の「兜師走り」の「翁」は、「12月往来」「父尉」「延命冠者」という組み立てである。
つまり、銀座・金春祭りの祭儀は、奈良の2つの行事の演出をつきあわせて構成されている。
☆当日は午後4時から金春通りで座席指定券を1人1枚配布する。5時45分までに着席する。
能楽講座の開催
能楽金春祭りにあわせて、能楽講座を8月1日から3回にわたり開講する。会場は伊勢由ビル2階のギャラリーイセヨシ(銀座8-8-19、TELL03-3572-2738)
1日(月)金春安朋(金春流能楽師)講演「能楽、目からウロコ講座」
3日(水)高橋忍(金春流能楽師)能楽楽器体験講座
5日(金)山井綱雄(金春流能楽師)能楽面装束の体験講座
6日(土)金春穂高(金春流能楽師)能装束着付実演・謡曲体験講座
いずれも午後2時〜3時半定員20名先着順。
開講日当日、12時半より13時半の間、会場入口で整理券を発行。また各日13時から16時の間、会場に能の写真及び絵画を展示する。
問合せ先=杉並区南荻窪3-18-10-203(社)金春円満井会、TEL03-3331-6714
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