12人の講演記録
　 昨年は「江戸開府400年」を迎え、中央区を中心に多彩なイベントが繰り広げられ、東京の歴史に大きな刻印をふむことができた。イベントだけでなく後世にのこる文化行事も多数開催された。そのうちのひとつが1冊の本にまとまった。このほど月刊日本橋から発刊された「伝統と変革日本橋400年」がそれ。
　 この本は平成15年5月から平成16年4月まで12回にわたって日本橋倶楽部で開かれた講演をまとめたもの。主催した月刊日本橋はその意図を巻頭で次のように記しているこれは日本橋400年の歩みが単なる伝統の保持ではなく、ベンチャー精神に満ち満ちた変革の歴史であったことをさまざまな角度から検証しようという試みでした。その12回の講演記録を収録した本書は、日本橋400年の変革の歴史、さらには土地の気風をよく伝えてくれております。
　 変化の激しいこの時代に、「土地の気風」という言葉は死語に近いもの。歴史の節目にこそ、それぞれの時代に脈うつものを再確認する一時なのかもしれない。
　 掲載されている講師も多彩で各分野で著名な活動を展開しておられる人ばかり。
　 日本橋魚河岸で生まれた尾村幸三郎氏、日本橋問屋街に生まれ育った白石孝氏、講演で自作落語「日本橋の由来」を演じた桂歌助氏、人形町のたい焼屋に生まれた竹内誠氏など、薬、浮世絵、相場師、料理に建築と、日本橋の歴史案内所でもある。