日本経済新聞が4月5日から「首都に生きる」のシリーズを始めたが、その5日の記事の内容が誤解を招くので遺憾であるとの抗議文を区の企画・都市整備の両部長名で日経新聞地方部長あてに送付した。中央区は不況のあおりで昼間人口が10万人も減って、産業界に大きな打撃を与えている。特に日本橋問屋街では若い学生との連携に区もまきこんでのコラボレーションで活路を開く新しい試みに挑戦している。こうした実情を配慮しない日経記事には地元に「再開発をハードしか見ない」との反発がでている。区の抗議文と記事の一部を紹介し読者の判断をあおぎたい。
再開発のハードしか見ないと反発
日経新聞への抗議文
平成17年4月5日に掲載された『首都に生きる』の記事では、日本橋横山町、日本橋馬喰町など日本橋問屋街地域についての表記が、下記のとおり取材時における本区の説明と大きく食い違い、十分な取材のないまま記事として掲載している。本区では、地元の方々とともに地域のまちづくりに取り組んでおり、こうした記事は読者に誤解を招くなど極めて遺憾である。
本区は、こうした取材活動及び記事の内容について強く抗議するとともに、再度取材を行い正確に報道することを求めるものである。
記
(1)問屋地域の街やビルについて、「古い、小さい」ということについては言及していないこと。
(2)「繊維業界の海外シフトもあって復活の妙手は見当たらない」の部分は、発言していないこと。
(3)文化服飾学院の卒業生を対象とした事業について、事業はスタートしたばかりであるにもかかわらず根拠なく、効果が生じないような評価を行っていること。
日経新聞の記事
兜町付近から地下鉄で北へ2駅。大小1,200の繊維問屋が軒を連ねる日本橋横山町、日本橋馬喰(ばくろう)町かいわいも、昼間の人通りはまばらだ。「街全体が非常に古く、ビルも小ぶりで再開発は難しい。繊維業界の海外シフトもあって復活の妙手は見当たらない」と中央区都市整備部の田村嘉一特命担当も表情を曇らせる。
横山町奉仕会と東京問屋連盟は一年半前、西新宿にほど近い専門学校の文化服装学院(渋谷区)と連携してまちおこしを始めた。地元の経営者らが学院で「問屋概論」を講義したのもその一環。中央区は区内で新規開業する同学院の卒業生向けに、空き室の賃料を半額程度に抑える補助事業も始めた。
「財力に乏しい若者にとって大きな励み」と同学院の小杉早苗氏(文化ファッションビジネススクール校長)は歓迎する。ただ、街全体でみれば、地盤沈下に歯止めをかけるには至っていない。
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東海道、中山道など五街道の起点となる日本橋に橋ができて402年。東京駅の東に位置する中央区は西の千代田、南の港と並ぶ「都心三区」の一角を占めるが、昼間人口はこの10年で10万人以上減り、銀座以外は商業のけん引力に乏しい。
東京駅東口の八重洲地区にはここ数年で20軒近い風俗店が開業した。雑居ビルの中層階に黄色やピンクで「エステ」の看板が光る。「こんな街じゃなかったのに」と50代の地元商店主は憤慨するが、実際に空き室を抱えたビル所有者にとっては貴重な借り主だ。
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