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■ 5月23日発行  このページの先頭へ
「地区計画の悪用」と区に要望書
鰻の寝床に10階建て

  敷地いっぱいに建つ高層住宅は各地でトラブルを招いているが、20日、矢田区長あての要望書持参の住民による陳情があった。これに区議会各会派の代表も同行した。
  問題の計画は今年に入って明らかにされた「アーバイル月島」月島3丁目の西仲通りから南側の道路に至るまでの敷地471平方メートル(142.48坪)に10階建てのマンション(住宅54戸)を建てる計画。1階の西仲通り側に84.94平方メートルの診療所を設け隣に住戸への入口、ゴミ置場、駐輪場、駐車場を置く。2〜10階が住宅で、一戸当たり50平方メートルに満たない広さ。
  西仲通りは7メートル、反対側の道路には6.25メートルで敷地が接していて、長さは49.65メートル。地元の人たちは巨大な壁が建つようなものだと、表現している。
  鰻の寝床のような土地になぜ10階住宅が出来るかというと、月島地域にかぶせられている地区計画が原因。木造住宅の多い月島で建替え促進で採用された容積緩和が逆利用された結果。隣接地との空間は全くなく敷地いっぱいに建てられるので、住民は30メートルの「壁」に限りない圧迫を感じざるを得ない。地元では街並みを守るための組織を結成して区に要望書を提出した。
考える会の要望書
  月島地区は、路地を中心とした居住の場として、下町らしい街並みを残しながら独自の発展をしてきた地域です。
  こうした中でこの度、月島3丁目706番においては、(株)ディベックスによって計画されているアーバイル月島の建設計画については、非常な不整形な敷地形状でありながら、月島地区における地区計画の運用基準を適用し、西仲通りから裏どおりまで10階建てで通した建物計画で、まるで街中に巨大な壁が出現するかのようです。これにより地域の住民は、日照の問題をはじめ、ビル風などの環境悪化や、月島らしい街並の破壊などを大変に心配している。
  月島地区の地区計画は、既存の法律制限により、建て替えに際して、従前の建物規模の確保が難しいため、個別の建替えを促進するために導入されたもので、もとより、その目的とするところは、月島らしい路地空間を活かしながら、より安全で快適な住環境の創出を目指すものであるはずです。
  この地区計画が、月島地区における良好なまちづくりに大きく寄与してきたことは、十分評価できるところでありせっかく区民のために導入したこの制度が、制度の形式的な解釈論により、結果として本来の地区計画の理念である街並みの連続性や周辺環境が損なわれ、区民の生活がおびやかされることは残念でなりません。
  こうしたことから、ぜひともこの地区計画の理念が十分生かされ、月島地区の良好なまちづくりが確固たるものとなるよう要望します。
  (1)今回の計画に関しては、それぞれの前面道路幅員を基準とした高さ制限とするよう事業者を指導すること。
  (2)今後、制度を逆手に取った乱開発が行われないよう、地区計画の詳細な見直しを図ること。(愛する月島・街並みを考える会=村井雅人代表)

 
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