平成16年5月に、2回目の議長に就任させていただきました。以来1年間で天皇皇后両陛下に、2度もお目に掛からせていただく事が出来ましたのは、私の一生の中で、忘れられない一年でした。
　 始めは、昨年の9月8日に特別養護老人ホーム「マイホームはるみ」にご視察賜った時です。私はただ嬉しくて胸をわくわくさせておりましたが、お迎えにあたり、お立ち位置や、エレベーターにはどう乗るか、順路はと、分刻みの準備がされており、さすがに暢気な私も大変な事なのだと緊張致しました。お車から降りられたお二人をお迎えした時は、自然に頭が下がる思いでございました。無事にご視察も終り、侍従の方から、「お召しでございます」と時代劇のようなお言葉があり、御休息のお部屋に区長と共に伺いました。
　 皇后様と足がふれてしまうような近い位置の椅子にすわり、私が「まだ皇太子殿下であられる頃に、とても慎重にお車を運転なさっていらっしゃるのを拝見致しました」と申し上げると、皇后様はクスッと笑われて「殿下は、とても慎重な方でいらっしゃるから」とおっしゃって座が和みました。施設長が私がホームで盆踊りの太鼓をたたいたとおっしゃると、陛下は「お祭りは楽しくていいね」とおっしゃり、皇后様は、お立ちの時にわざわざ戻られて「太鼓頑張ってね」と声をかけて下さり大変感激を致しました。
　 2回目は4月13日の園遊会です。当日は雨女の私らしく、朝から曇天で、雨がしとしとと降っておりました。しかし赤坂御所に着く頃には上がり、ここが都内であることが信じられないような素晴らしいお庭と、美しいお花に、時の経つのも忘れてしまいました。
　 やがて両陛下と皇族方が、お出ましになり、皆さんの所を廻られました。私の前にいらっしゃった時、「本日はお招き賜りまして有難うございます」と申し上げると、皇后さまが名札をご覧になって「あら、中央区の」とおっしゃいましたので、「昨年は御視察賜りまして」と申し上げました。「施設でしたね。まだ太鼓頑張っておられる？」と、手で太鼓を打つ真似をして下さいました。
　 私は、驚きと感激で、言葉になりませんでした。帰りには、記念のお菓子を宮内庁の方から「賜りでございます」という言葉と共に頂き、なるほどと関心しつつ家路に着きました。
　 両陛下にお目に掛かり、その溢れるような、暖かさと気品、これは、一度お目に掛かった者全てが感じられることであろうと思いました。
　 同時に、2回あわせても、数時間御一緒させていただいただけですが、御公務の大変さを感じ、お二人の御健康を願わずには、いられませんでした。