超高層ビルの再開発は、銀座に似つかわしくないのではないかと、問題提起をして発足した「銀座街づくり会議」が1年を経過。シンポジウムの開催に次いで、4日から7日まで、ギンザ・コマツの八階にオープンした「AMUSER」(多目的ホール)で「発見!銀座」展が開催された。建築を学ぶ学生の描く未来を一堂に集めた。参画したのは工学院大学大学院の都市デザインスタジオ、東京理科大学小鳩研究室、明治大学修士課程のアーバンデザインスタジオ。それぞれ銀座の街を歩いて、若い感性で見抜いた問題意識でテーマを決めて探究した。今ある銀座の街に、路地を発見し、共同ビルへの新しい可能性を提案、あるいは街並みの維持に超高層は馴染まない、などの認識を展開した。とりわけ注目されたのは、街並みを活かす景観に重要なインパクトを与える「広告物」について明確に規制と意匠が必要と主張した工学大学の提案。そのガイドラインは次のようなものだった。
銀座らしい景観デザイン
「銀座ルール」を適応して考えると、銀座全体として約10%のオフィスが減少し、その分、商業関連施設が増加する。それにともない、今までオフィスであったために広告物が少なかったエリアにおいて、屋外広告物の割合は増加してくることになるであろう。東京都の屋外広告ガイドラインによる規定しかない現在の状況では、新宿や渋谷などのような広告物が散乱してしまう可能性があり、「銀座らしさ」の崩壊につながる恐れがある。
そこで、屋外広告物規制の必要性が、問われるのではないか。
屋外広告物は、基本的には設置者の創意工夫により自由につくられるものだが、不特定多数を対象として公共空間に向かって表現されるため、銀座を構成する大切な要素として、一定の公共性と社会的な役割が求められる。
わかりやすく適切な情報、優れたデザインの広告物は、宣伝効果や販売促進、集客の増加につながり、市民の暮らしや銀座のまちづくりにもメリットをもたらす。広告主や事業者のセンスが商店や企業のイメージアップだけでなく銀座全体のイメージ向上にもつながる。
従って、屋外広告物の設置や表示にあたっては、美観維持と安全確保に加え、ガイドラインに沿って地域の特性や周辺環境への配慮と調和に努め、銀座を彩る魅力的な広告づくりが必要である。
<広告物の誘導基準>
◇広告物のデザイン性を高める(建築物と一体的なデザインを施す。文字、図柄などに配慮し、良質なデザインを施す。)
◇まちなみとしての景観を高める(周辺景観の特徴を読み取り、周辺景観に調和するデザインを施す。大きさや表示内容は、必要最小限のものとする。)
◇維持管理に留意する。
<壁面広告物>
20平方メートル以下の広告物はその通りごとに一律の規定を設ける。
20平方メートル以上の広告物は取付面積の大きさによって異なる規定を設け、デザインレビューを行うことにより、優れたデザインと認められたものについては、この基準によらず、柔軟な運用を行うことができる。
<窓面広告物>
窓面積の2分の1以下、ただし切り文字式の場合は緩和できることとする。デザインレビューを行い、デザイン性に優れたものにあたってはこの限りではない。
<突出広告物>
下端高さは、東京都屋外広告物条例では最低限下端高さが3.5メートルとなっているが、銀座の現状を調べると4〜5メートルに集中する。最低下端高さを高い位置に指定する方が、銀座の街並みの連続性が際だち歩いて楽しい空間が形成されるであろう。よって、最低下端高さを地上から5メートル以上とし、突出出幅は建物面積の壁面から0.75とする。
<広告物の集約化>
突出広告物や壁面に広告物はできるだけ整理し、大きさやデザインをそろえた低層部の吊り下げ看板や地上設置の集合サインなどに集約化することが望まれる。広告物の大きさや位置がそろっていないと漠然とした印象になる。特に面積が大きな広告物では色の使い方にも注意が必要。
<光・ネオン>
広告物のネオンは、まちのにぎやかさを演出する夜間景観において重要な役割を担っている。ネオンを用いた広告物は、周辺との調和・昼間の景観の配慮を心がけなければならない。
点滅型の広告物は原則として禁止することにし、銀座らしい夜間景観の向上を図る。
◇照明が点滅式でないこと又は照明の速度が緩やかであること。◇表示面の色彩が周辺の建築物等の色彩と不調和でないこと。◇ネオン管等の装飾が昼間の景観に配慮したものであること。◇照明がフラッシュ式又はストロボ式でないこと。
映像として流れるビジョンは、銀座のまちなみにどのような影響を与えるのだろうか新宿や渋谷のようなビジョンは銀座にも必要だろうか。銀座のまちなみに及ぼす悪影響は大きいはずである。
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