中央区は25日、銀座ブロッサムホールで防災講演会を開催した。今年は阪神大震災から10年目、また昨年は新潟県中越地震が発生し、さらに暮にはインド洋大津波で未曾有の犠牲者がでるなど地震災害への関心が高まってきている。区は阪神大震災以来、毎年1月に防災講演会を開催している。今回の講師は山村武彦氏。学生時代に新潟地震(41年前)の惨状を体験して早稲田大学を中退、防災システム研究所を設立、以来、世界の災害現場を100回以上にわたり視察。その豊富な体験にもとづいて、スライドで示しながら講演した。
特に「防災常識」の間違いを指摘。地震がおきたら「机の下にもぐれ」では人の五感が奪われて次の行動に出られない。「車は左側に停車して徒歩で避難」は緊急用車両の歩行を妨げるので間違い。学校の訓練も机の下にもぐるだけでなく、子どもの通学路で落下するガラスなどを避ける方法を教えるこどか大切、とさとした。
大地震の時は役所も病院も壊れるので、頼りになるのは2日間自給できる水と食料、そして「向こう三軒両隣の助け合い」と強調。また神戸では水の確保に困窮していたとき、キリンビールがビール瓶に詰めた飲料水を大量に届けた事例を紹介して、企業との連携にも言及した。
中越地震では土砂に埋もれた車両から幼児が救助され、その後、母親と姉が遺体で見つかり全国民に衝撃を与えたが、この奇跡とブラジルでおきた火災で火災につつまれた部屋から母親がカーテンで我が子をしばって15階からとび降り地面に叩きつけられたが子より重い親がクッションになり幼児は無傷で助かった。2つの奇跡から「防災とは自分にとって一番大切なものを守ることです」と指摘して講演を終えた。 |