定例区議会の一般質問は、9月24日と27日に行われた。各会派を代表して次の8議員が登壇した。自民党=鷲頭隆史、鈴木久雄▽公明党=中島賢治、鈴木幸子▽共産党=小栗智恵子、田辺七郎▽グループ未来=青木幸子▽中央区民クラブ=渡部博年。子どもの教育についての質疑は別項記事にまとめた。それ以外の区とのやりとりは次のとおり。
鷲頭 隆史議員
住民が急増して区民の要望も多様化していく中で、区の基礎データの偏りといった問題を指摘して区の考え方を質した。
矢田区長は「地域の状況をしっかりと把握して、タテ割り行政を排して前例にとらわれずチャレンジしていくことが重要」との認識を示して「まごころステーション」に加えて、バブリックコメントなどホームページによる区民との対話にもつとめていく方向も示した。
身体を鍛えることで介護に頼らない老後をおくるパワーリハビリについて、その具体的実務を求めたところ、区長は「リハポート明石で10月目途にトレーニング機器を導入し、要介護認定を受けている利用者に実施する」と伝え、また来年は改修後の保健所で総合的なプログラムを取り入れる予定と答えた。
リバーシティ21の文化商業用地(北ブロック)の行方を質した。区長は都市再生機構(旧公団)が文化用地を公募で民間に処分する方針で、申し出た12社で検討を進めている、と報告。こうした事業が地元には何も伝えられていないことが問題だとして、きめのこまかい地元対応をとるよう強く要望した。
鈴木 久雄議員
図書館サービスをとりあげた。コンピューター貸し出しなどサービスの充実などを評価しつつも、祝日を休館にしたり開館時間が京橋と他とで異なり利用者から分かりにくいとの指摘もあるとして、開館日の拡大、開館時間の延長についての見通し、23区の比較などについて質問。
区長は20区で祝日に開館しているのは15区、月曜開館は4区。開館時間では、午後8時まで12区であると紹介したうえで「図書館サービスで23区の最高水準となるよう、早急に取り組む」と約束した。
さらに図書サービスに業務委託の導入を提案して区の考え方を資した。区長は、図書館業務には司書の資格が必要で民間に少いので限定されてくる実情を説きつつも、人材起用や経費削減の効果を認めて、「業務委託の早期実現を検討する」と答えた。
中島 賢治議員
区のお知らせに年金納付は載っていも「第三号被保険者の救済」が載っていない問題をとりあげ、「社会保険庁の問題でなく区民の問題であって、第三号被保険者にもれていること自体を知らない人が多いので告知してほしい」と、区の考えに言及。区長は、国が法改正して来年4月から遡及して屈出を認める特例措置をとるので、それに応じて区民に周知すると約束。
「まごころステーション」が区民に喜ばれているとして、次は昼間働いている人のために日曜開所をと提案し、白河市の視察をふまえて区の対応を求めた。
区長は当面は水曜の時間延長や自動交付機、自宅予約の活用などのPRにつとめ、電子区役所の推進などで対応したいと答えた。
中央区には秘められた郷土史が沢山あるので、これを観光資源として宣陽して、コミュニティバスの巡回など工夫すべきだ、と主張した。
鈴木 幸子議員
前頭葉を活動させることで脳がきたえられるとの研究結果を紹介し、それには読み、書き、計算(学習療法)が最大の効果をあげるとして、その採用を説いた。区長もその効養を痴呆予防策にとり入れていくと約束。また脳のトレーニング教室の開設を品川区の実績を紹介して採用を求めた。区長は痴呆の予防には、体験を記憶して再生、2つのことに同時に気を配る、物事の手順を考えるこの3つの能力を高めることが必要、と説き、これらのトレーニングを入れたメニューを採用していく考えを示した。
高齢者住宅の募集が一戸に対して47人もの応募がある実情を指摘して、国の制度改正による民間賃貸住宅が月島に建設されるが、この高齢者住宅を京橋、日本橋に拡充するよう求めた。また、空きビルの活用にも言及。区長は家賃の一部を助成する月島の住宅が来年八月に完成するのを見極めて対応していくことを約束。京橋、日本橋については空きビル活用をふくめて制度のPRと業者へ働きかけていく方向を示した。
小栗智恵子議員
イラクに自衛隊が「多国籍軍の一軍として、いまなお派兵し続けていること」への見解を求めた。区長は「いまだテロが絶えないが、六月に暫定政権が発足し来年1月までに国民議会選挙が予定されていて、自衛隊の復興支援活動は大きな役割を果たしている」との考えを示した。
介護保険について、現行サービスを後退しないために、利用料3%の減額、介護保険サービスの横出し、上乗せの維持、介護応援手当ての継続についての考えを求めた。区長は「制度改正を見極め必要に応じた取り組みをする」との基本姿勢を示した。
今議会に上程されている安全・安心条例を「生活の隅々から国民を組織する監視システムづくり」「戦前の隣組による監視制度を復活させるもの」などと批判。区長は、基本は自分の安全は自分で守るにあり、それを地域でサポートするものと説いた。
田辺 七郎議員
築地の将来ビジョンを集中的に質問。都市計画上の環状二号線を先取りすることは容認できない。勝どきの住民が地上化反対としていることへの背信行為。ビジョンづくりに至る都との協議内容と合意点などを質問した。区長は、市場移転と環状二号線は相互に関係しているとの認識を示し、この2つの問題に断固反対を貫きつつも、万が一に備えてのものと説明。また都とは関係局と提しょうしており、「この内容で正式に協議を開始することで合意を得ている」と説明した。
環状2号線については、圧倒的な区民が地上化に反対しているのだから住民の期待に応えられるよう要求した。区長は「都の強引で強硬な姿勢を示す中では、あらゆる可能性に対応できる備えをとることが自治体の責務」との立場を鮮明にし、地域住民との十分な協議をすすめ、都と交渉していくと答えた。
青木 幸子議員
9月5日の総合防災訓練に参加して、区の職員の初動態勢、指揮系統、無線連絡など防災拠点のネットワークについて言及した。区長は、区内21の拠点に区内に住む職員を配置し、無線訓練は毎月実施していると答弁。なお無線は自家発電などで数日間の使用が可能とも説明。区内高層ビルのガラス飛散の危惧に対しては「アミ入りガラス、フィルムをガラスで挟んだ合わせガラスの使用で破片が飛散することは少ない見通し、と説明した。
介護保険制度が実施されて5年たち保険料の地域格差が2、3倍にまで広がっている実情から今後の見通しを資した。区長は、現行制度がサービス総量が保険料負担を招くため、国は被保険者の拡大、負担のあり方を検討中でその動向を見極めると答弁。またボランティアの有効活用には「地域での人の交り」が重要だと提案した。
渡部 博年議員
国の進める三位一体改革は国の力が強化で逆行しているのではないかとして区の考え方を求めた。区長は現行の改革が国の財政再建を優先しすぎていると指摘し、たとえば国産負担金削減と税源移譲との差で本区は1億2千万円の町源不足と説明した。
基金について福祉目的基金を十九区が実施している実情と中央区の考えを資した。区長は現時点では「特定の財源をあてることが難しく、低金利で基金の利息を活かす状況にない」との理由を示した。
まちづくりでは都市計画が改革されても、都は自分の都合で計画変更するなど住民不在の上意下達は変わっていないと指摘して区の対応と考えを求めた。区長は国や都の一方的押し付けとして日本橋頭上の高速道や三原橋の不法占拠などをあげ、区として築地ビジョンのように地域発展と区民の生活を守るため最大限の努力をすると答えた。
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