政権は辛うじて守り抜いたものの自民党にとっては厳しい結果となった参院選。構造改革を旗印にしてブームをまきおこした小泉政権も、年金問題という国民の将来設計に関わる課題に明確な方向を示し得なかったことは致命的だった。構造改革は、戦後の日本がぶち当たっている課題に正面から取り組むという改革そのものへの期待に支えられていた。ところが郵政、道路公団といずれも自民等族議員との確執がブレーキ役となってトーンダウン。社会保険庁もまた他の官僚以上の腐敗ぶりをさらけだし、そこにどうメスを入れるかの説明なしに保険料未払に転じて、混迷のまま選挙戦に突入した。混迷度が深まる中で民主党に流れが向いたが、小沢保守党との合流が風まかせの民主党には大きな支えとなった。改革をめぐる確執は今後、政界再編の起爆剤にもなり得るテーマで、自民・民主の二大政党化と単純には言えない動きが今後のカギを握りそうだ。
安心安全の不安が根底に
自民党に重い闘い
今回の参院選は3年前の小泉ブームで64議席も獲得している自民党にとって、特に年金問題での国民の反発は選挙にたずさわる人たちには辛い闘いだった。闘い当初から改選51を勝敗ラインと設定したことに、自民党の苦渋がうかがえる。
新人の多い候補者の中でも自民党公認は元大蔵官僚で知名度も低く、担ぐ人たちのハンデも重かった。さらに自民党には且つて業界団体の支えがあったものだが、長引く不況で業界自体が連動しなくなっていた。とりわけ東京では浮動票が半分はいるといわれているだけに知名度の低さは致命的といえた。
それでも予想が当選圏すれすれ、といわれたこともあり比例の団体推せんをフル稼動させることでトップ当選を果たすことができた。しかし結果は中央区を見ても投票率の上がった分は民主党に流れたことは歴然としている。
流れは民主党に
民主党は現職に加えてテレビで売った女性をたて、しかも東と西に地盤割したことも功を奏したようだ。党代表をめぐる混迷も仲間争いに至らず岡田代表の真面目ぶりで小泉ブームに水をさすことにも効果を発揮した。メディアの流れも支えになって流れは民主党に傾いたけれども、内実は楽観できない。比例は今回から政党名、個人名どちらも可となったが、民主党は大半が政党名であったことを見ても自民党との力の差は否定しがたい。
選挙制度として二大政党化は目論見どおりに維持しているけれども民主党は党の思想哲学を明確にするとともに組織(地方、団体)としての確立が問われてこよう。今回、立正佼成会が民主党についたのも公明党=創価学会への反発によるもので、決して民主党の「自力」でないことも見極める必要があろう。一方、公明党も政権党として荒波に立ち向かうことになり、浮動票の上積みはできなかった。
一方、第3の勢力の必要を訴えて有権者の動向が注目された共産党や社民党は、フレッシュ度において得るものはほとんどなかった。
民意が問われた
今回の選挙で民意が問われていると見られる候補として注目されたのが青島、増本の両氏。参院議員、都知事の経歴で青島氏は問われ、日本人の心を増本氏は説いた。増本氏が中央区で善戦したのは市場で働いた実績にもよる。
《東京選挙区の結果》 |
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中央区 |
文京区 |
台東区 |
中川 雅春 |
8,855 |
16,548 |
16,061 |
小川 敏夫 |
7,427 |
16,487 |
10,459 |
蓮 舫 |
7,501 |
16,785 |
14,684 |
沢 雄二 |
4,512 |
8,989 |
10,142 |
次青島 幸男 |
5,785 |
10,183 |
8,389 |
今村 順一郎 |
2,886 |
8,808 |
5,784 |
増本 照明 |
4,614 |
7,468 |
5,404 |
中川 直人 |
1,106 |
2,917 |
2,092 |
上田 哲 |
1,398 |
2,922 |
2,198 |
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投票所 |
有権者 |
投票率 |
平成13年 |
城東 |
511 |
51.28 |
52.45 |
泰明 |
817 |
53.49 |
50.11 |
京橋プラザ |
2,801 |
59.01 |
57.40 |
銀座中 |
565 |
48.85 |
47.46 |
京橋築地小 |
4,903 |
55.54 |
52.44 |
明石 |
3,189 |
57.32 |
54.62 |
中央 |
2,370 |
58.65 |
59.76 |
京華スクエア |
1,776 |
61.04 |
61.05 |
明正 |
3,844 |
55.20 |
52.45 |
京橋地域 |
20,776 |
56.68 |
54.65 |
常盤 |
678 |
55.31 |
54.34 |
十思スクエア |
2,888 |
54.67 |
54.07 |
日本橋小 |
3,731 |
60.68 |
59.67 |
有馬 |
8,336 |
59.55 |
56.77 |
久松 |
4,355 |
56.30 |
56.11 |
阪本 |
1,424 |
54.92 |
54.79 |
日本橋地域 |
21,412 |
57.99 |
56.62 |
佃島 |
9,008 |
61.60 |
59.02 |
月島幼稚園 |
4,690 |
63.73 |
60.01 |
月島出張所 |
5,578 |
62.14 |
57.79 |
月二小 |
6,597 |
58.06 |
55.03 |
豊海 |
4,134 |
57.14 |
52.71 |
晴海区民館 |
4,438 |
63.79 |
59.99 |
月島地域 |
34,445 |
61.05 |
57.45 |
総計 |
76,633 |
58.92 |
56.46 |
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《比例代表選出の結果》(カッコ内数字は政党名票数) |
(1)民 主 党 |
17,736 |
(10,366) |
(2)自由民主党 |
14,246 |
(15,800) |
(3)公 明 党 |
4,486 |
(1,394) |
(4)日本共産党 |
3,596 |
(3,239) |
(5)社会民主党 |
1,097 |
(1,241) |
(6)みどりの会議 |
1,280 |
(752) |
(7)女 性 党 |
784 |
(681) |
(8)維新政党・新風 |
145 |
(122) |
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