日本の和紙 小津の和紙―「小津産業株式会社」(本社=中央区日本橋本町3一6一2=昭和通り角=北村純夫・代表取締役会長 中田範三・代表取締役社長)は創業350周年を記念して「小津350年のあゆみ(戦後編 昭和から平成へ)」 「温故 知新」を刊行した=写真。
今井武一・同社名誉相談役 (株)小津商店代表取締役社長は「はじめに」で、承応2(1653)年、小津清左衛門長弘が江戸大伝馬町(現・日本橋本町)で紙商を創業以来、一貫してこの地を動くことなく350年の歴史を刻んでまいりました。紙は小津の「糧」であり「宝」で、日本人の英智から生まれた和紙の伝統を大切に守り育て、事業の営みを後世に残すべく、記念すべき社史の発刊を企画した次第です。小津の社史はすでに昭和58(1983)年に「小津330年」のあゆみを刊行、創業から江戸・明治を経て戦前までを主体に記述、各界からご好評をいただきました。今回は、戦後から現在までのあゆみを中心に物語風に綴りました。これからも小津は、経営理念に掲げる「温故知新」の精神を忘れず、信頼される企業をめざします」と記している。
山口信夫・日本商工会議所会頭(旭化成(株)代表取締役会長)は、発刊によせて「江戸の中心、日本橋で今日までの永きにわたり世の栄枯盛衰を見極め、しっかり事業を推進、幾たびかの戦争や経済的変化をも乗り越え、堅実に発展を続けられ本当に感嘆すべきことで心から敬服いたします。これからも50年、100年の年月を重ねられ、さらなる躍進を衷心より祈念申しあげます」と祝辞。
序章 鱗久350年(戦前編)1.江戸から昭和へ 2.合資会社に衣更え <研究資料>たくまざるリスク・マネージメントで、はじまる。
▽第1章 戦後復興を生き抜く(戦後編)▽第2章 洋紙販売に参入 ▽第3章家庭紙・雑貨の伸張 ▽第四章 不織布ベンコットを開発 ▽第5章 拡大する小津グループ ▽第6章 パブリックカンパニー ▽第7章 和紙による社会貢献 ▽第8章 温故知新―伝統と革新の各章から成り、各項とも詳細に発展過程をひもといて興味深い。
年表(350年のあゆみ)、小津グループのいま―と続き、あとがきで「戦後の動きを中心に、ひとりでも多くの方に読んでいただける年史をめざし、全編を物語風に記述、社史としては型破りの方針のもとに編さんいたしました。貴重な写真、資料などご提供いただいた(財)紙の博物館、東京都紙商組合の関係者の皆様にもお礼申上げます」(編さん委員会)。上質和紙を使用、262頁の豪華版。 |