NHKの大河ドラマの影響もあって新選組が注目を集めている。新富町に住む昭和32年生れの伊藤成郎(いとう・せいろう)さんは、明治大学の学生時代から新選組の研究を続けてきた若手のホープ。そのためマスコミに多く登場するとともに著作も相次いで発刊している=写真。
昨年5月には河出書房新社から「新選組決定録」、10月にはKTC中央出版から「新選組は京都で何をしていたか」そして今年2月には再び河出書房新社から「新選組と出会った人びと」1年しない間に3冊もの本を著すとは、売れっ子の作家にとっても並大抵のことではない。その豊かな知識と発想には驚嘆せざるを得ない。
そればかりではない。朝日新聞社からは京都新選組を紹介する「誠へのガイドブック」を発刊。30頁の冊子で新選組を手際よく案内して好評。
さらにNHKの「ラジオ深夜便」という雑誌六6月号では2月19日に放送された伊東さんへのインタビューが再録されている。ラジオの深夜放送といえば、ひところは若者が夢中になったのものだが、今は高齢者に人気があるとかでこの雑読も意外に売れているのだという。
新選組は維新政府にとっては水戸や会津と同じ政敵として許されざる存在で、歴史の王道から消し去られてきた。それを子母沢寛というジャーナリスト出身の作家が新選組の生き遺りに会い聞き語りを公表して日本人の見る目を変えたといわれる。さらに司馬遼太郎らによって若き志士たちが生き返り、ブームをまきおこした。
強烈な存在であったが故に憎むべき悪役に見られたが、伊東さんは「しかし、新選組を幕末という過去の、そのまた隅っこの進行形の中で眺めると、私はその存在そのもののおもしろさや、事実のおもしろさにひかれるのです」とNHKのインタビューで話している。
伊東さんは12日に日本橋公会堂で開かれる古典芸能鑑賞会で新選組を語る。 |