このところ区の掲示板に、歩きたばこ、ポイ捨ては禁止と示されたポスターがやたら目に入る。中央区はすでに実施している6区についで6月から「歩きたばこ、ポイ捨てをなくす条例」が施行される。公共の道路、公園、広場などでの歩きたばことポイ捨てが出来なくなる。この条例のPRにつとめるとともにパトロール隊が街頭で禁止をよびかける。中央区は江戸の昔からの商店街をかかえているところから、顧客追い出しになりかねない罰則つき条例化には慎重だった。平成10年にはこうした区民の声を受けて「クリーン・リサイクル中央区宣言」をして、町会や事業所の協力で清掃リサイクルにつとめてきた。しかし最近は若い女性の歩きたばこが日常化している変化に応じて条例の制定にふみ切った。千代田や品川のように罰則は設けず、マナーとモラルの向上を呼びかけることになった。商店街や企業の協力もあって今後の動向が注目される。
6月1日スタート
条例施行の6月1日正午から1時間、銀座五丁目の数寄屋橋公園でスターティングセレモニーを開催する。
区内で歩きたばこ、ポイ捨てを呼びかけるパトロール隊12名の出発式をしたのち、街頭で約70人がティッシュ配布して街行く人にPR活動を展開する。銀座の町会、PTA、銀座通連合会、ライオンズクラブ、ロータリークラブ、たばこ商組合が参加し、ミス中央も協力する。
また区内28駅の出入口では1日から4日まで区の職員が午前8時から10時までPR活動を実施する。
「中央大通り会」は独自のジャンバーで
今回、PR活動のため区は標語の入ったジャンバーを作製したが、東京中央大通り会は独自にイエローのジャンバーを特注して1日のPRに参加する。また毎月10、20日、30日には中央通りにジャンバー姿で繰り出し、PRと歩道清掃を実施する。
また箱崎の日本アイ・ビー・エム総務サービス(株)は、区の条例PR活動に協力して、6月2日と4日に同社の利用の多い茅場町駅、水天宮前駅で啓発活動を実施する。
宣伝のため銀座三愛のオーロラビジョンで毎時3回、15秒にわたり画像PRをし、晴海通りの電光掲示板でも呼びかける。また歩道にはシールを貼ってのPRも実施。
条例設置は6区
歩きたばこ・ポイ捨ての条例を設置している特別区は現在6区で、さらに台東、大田、世田谷、板橋区でも条例化を検討している。実施区の内容は次のとおり。
<千代田区>平成14年10月に開始。JR各駅周辺を路上禁煙区に指定。過料2千円。過料を科せられたもの約5500人で2割近くが未納。
<港区>平成15年8月開始で新橋駅前と桜田公園に喫煙エリアを設置。周辺300メートルは路上禁煙。今年2月から品川駅前も同様に。
<新宿区>本年度に区内152箇所の吸殻入れをすべて撤去。喫煙スポットの設置を検討している。
<品川区>平成15年10月に区内4駅周辺を路上喫煙禁止に。過料1000円で、科せられたもの約50人。
<渋谷区>4月に渋谷駅周辺を重点地区に。周辺15箇所に喫煙所を設置。
<杉並区>平成15年10月、区内JR駅周辺を路上喫煙禁止に。過料の規定もあるが実施は未定。
PRや清掃に努力を 中央区条例の目的と内容
条例は「目的」で次のように説明している。「区民と事業者が相互に協力して喫煙マナーと環境美化意識の向上をはかる」「自主的な取組を推進することにより、区内の公共の場所における歩きたばこ及びポイ捨てをなくす」、このことで「快適な歩行空間及び清潔な地域環境を確保することを目的とする」
条例で示す「公共の場所」とは「区や関係行政機関が管理する道路、公園および広場をいう」としている。また、歩きたばこには、自転車等を運転しながらの状態もふくめるという。
さらに吸い殻入れのある場所以外での禁煙(分煙)の徹底をはかるとして次のように定めている。
(1)駅の出入口や主要交差点など、人で混雑する場所での喫煙を禁止する。
(2)既に設置してある吸い殻入れは、設置者や地元商店街などの協力を得て、影響の生じない範囲に移設または撤去する。
(3)パトロールによる指導を実施し、吸い殻入れのある場所での喫煙を徹底する。
氏名の公表も
条例は罰則を設けていないが、違反者に対しては「注意指導、勧告」をして、それでも従わない者に対しては「区長はその旨を公表」できるとしている。
すでに罰則は千代田、品川区で適用している。この点についての中央区の考え方は次のとおり。
「人が大勢歩行する中での1部の違反者しか規制することができないこと、現場徴収ができない場合があり、違反者が虚偽の氏名や住所を告げた場合は督促が難しいなど、適用の公平性に問題があることから設けていない」
あくまでも中央区は「口頭および文書での規制に重点をおき、歩きたばこが違反行為であることを条例を根拠にはっきり示しつつ指導することにより、マナー・モラルの向上を図る」という。 |