人形町の甘酒横丁を歩くと、様々なきもの姿に出会えます。明治座へ観劇に出かける、おしゃれな柄行の訪問着をお召のマダム。着付けか、お茶のお稽古でしょうか?かわいらしい小紋を着たお嬢さん。ちょっとそこまで夕飯のお買いものといったかんじ感じの、紬に割烹着のおばあちゃま。皆さんそれぞれに素敵で、人形町の街並みにしっくりとなじんでいます。
私が人形町にきて感じたことは、きものが着やすい街だということ。
きものを着る機会が少なくなった現代では、きもの姿は目立ってしまいがちです。コンクリートの建物が立ち並ぶ中では、どうしても背景から浮き立つような感じがします。(それはそれで目立って良い部分もありますが。)江戸情緒残る人形町の街並みには、ごくごく自然にきもの姿が溶け込みます。きもの屋の私が言うのも何ですが、気張らず、当たり前に、きものを着ることができる街って、実はそんなに多くはないかもしれません。 |