「博多の女はおそらく、佃に住む!」という同僚の「予言」が的中。 2008年の春から中央区民になった、福岡出身の30代です。 住まいの中央区佃から勤務地の千代田区大手町までは地下鉄で30分、自転車なら20分。 お気に入りの中央大橋を渡って日本橋地域を突っ走り、もっぱら自転車通勤です。
家を選ぶときの優先順位に「眺望」を挙げる人は多いと思いますが、私もその1人。 では、お宅の窓から「何」が見えることが「眺めが良い」と言うのかしら・・。山、海、川、緑? 私が新居に選んだ佃の8階建てマンションの東側の窓から隅田川がほんの少しと、南西の方角に東京タワーの先っぽが申し訳程度に見えます。それでも、晴れた朝には川がキラキラ、夜遅く帰ればタワーがオレンジ色にちょこんと光り、夜空に溶け込んでいます。 新聞広告に掲載されているマンションのような素晴らしい眺望ではありませんが、私にとってはこのくらいが相応で心地よくさえ思えます。 一昨年までは東京の西方に住んでいましたが、どうも空が狭く『この窮屈さはなんだろう』と2年間考えて過ごしていました。あるとき実家の福岡に帰り、窓からの景色を眺めて気が付きました。北側に博多湾と福岡タワー、西側には夕暮れ時になめらかな金色に光る、室見川(むろみがわ)という川(同級生で歌手の椎名林檎さんの歌にも出てくる)が見えるのです。 思えば、育った土地に似た心地よさを探して、知らずのうちに中央区・佃を選んでいたようです。同僚の「予言」の理由が分かったような気がしました。
ここ佃は、言わずと知れた佃煮の発祥地として有名ですが(常備食として昆布や葉とうがらしの佃煮が我が家でも大活躍しています)、佃煮店のほかにも、魚屋、八百屋など下町風情がたっぷり。 その中でも、佃2丁目交差点そばの「手つくりとうふ よ古井」が私のお気に入りで、夕方になるといつも行列です。1枚110円の油揚げは、ふっくら・しっかり。食べ応えのある食感で、油ぬきせずにそのままいただけます。グリルで焼く場合は、ちょっと焦げ目を付けてしょうゆをたらり。この油揚げを食べるときも「ああ、ここに住んで良かった」と思える瞬間のひとつです。
油揚げのほかにも、季節ごとの変わり豆腐や「がんも」も美味しいです。銭湯に行く前に、お店に寄って注文だけ済ませ、お風呂上がりに買って帰る常連さんもいるそうです。格好いいですね。!