A. 筋トレとウォーキング、そしてストレッチが健康維持に必要な運動の3種類ですが、なるべく体脂肪を落とすこと、という意味ではありません。
体脂肪、という言葉は若者から中高年の方まで皆さんから目の敵にされるものですが、身体の脂肪というのは体のサビを止める、すなわち「抗酸化作用」もあり、人の身体にはなくてはならないもので、大切な役割を持っています。脂肪はもともと動物が自分の体を守るためにありました。厳しい自然の中で暮らしていた大昔は防寒対策であったり、クッションの役割で体を防御する役割も果たします。また、脂肪は様々な物質を分泌しています。満腹中枢を刺激するホルモンの「レプチン」や(レプチンは女性の子宮や卵巣の成熟に関わります)、動脈硬化を防ぐ「アディポネクチン」を分泌するのです。しかし、そのような脂肪の良い機能は(脂肪組織が)正常な状態な時に働くもので、肥満のような異常な状態では分泌されず、逆に他の悪玉物質を分泌するのです。
脂肪が少なすぎると発ガン率が上がるなど不都合が生じます。脂肪は「フリーラジカル」から体を守るために自ら犠牲になり、遺伝子やたんぱく質が酸化されるのを防ぎ抗酸化物質として働きます。その脂肪が不足すれば、身体の遺伝子やたんぱく質はダメージを受けやすくなるからです。「体脂肪率はなんと1ケタです」と紹介される芸人さんやアスリートは、じつは健康的とはいえない状態です。
つまり体脂肪は多すぎても少なすぎても駄目、ということでバランスが大切です。「抗加齢医学」の分野で理想的とされている体脂肪率は、男性で20~25%、女性なら23~28%です。思ったより脂肪がつくのは許容されていて、意外ですね。若干ぽっちゃり気味の方が体脂肪率1ケタよりも断然健康的なのです。