A.しじみに含まれる「オルニチン」というアミノ酸(タンパク質を構成する成分)は、人間の身体にとって重要な多くの機能をサポートしています。オルニチンは身体の中で、あらゆる組織に存在して機能しています。しじみ以外にもキノコなど、さまざまな食品中に含まれていますが、オルニチンを多く含む食品の代表格は、やはり「しじみ」ですね。オルニチンはアメリカでは15年以上前からサプリメントにも使用されていて、最近は日本でも注目を浴びている素材です。
では、オルニチンが身体の中で、どのような役目を働いているのでしょうか。
●コラーゲンを作る働き
動物実験では、オルニチンを摂ると皮膚のコラーゲンの合成が促進されることが報告されています。
●成長ホルモンの分泌を促す
成長ホルモンは、たんぱく質の合成を促すことで筋肉を作るのに効果をもたらすので、基礎代謝のアップにも有効です。
以上の研究報告があることから、オルニチンには肌のハリやツヤ、シミに効果が期待されていて、オルニチンを多く含む「しじみ」の人気が高まっているようです。
また、その他にもオルニチンの効果として言われているものがあります。
●免疫の機能アップ
オルニチンを投与することで、免疫反応に関わるマクロファージやNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化することが動物実験で報告され、免疫力を高める可能性に期待がかかっています。
●アンモニアの代謝をアップ
身体で発生した有害なアンモニアを解毒するシステムは、肝臓の細胞の中にある尿素回路というもので、これはオルニチンサイクルとも呼ばれています。肝臓の機能が低下しているときには、アンモニアの解毒に関わっているオルニチンの投与でアンモニアの代謝が改善されるという報告もあります。アンモニア代謝が良くなると、アルコール摂取で発生する物質(NADH)が消費されるため二日酔い防止効果が期待されます。というわけで、その対策として「しじみ」の味噌汁などの商品に人気が出ていますね。
さらに、このほかにも睡眠時間や記憶力に関するオルニチンの研究報告もあり、「しじみ」は意外と優秀な食材、健康食と言えるでしょう。一般論としては、やはり女性の美と健康に対する作用に注目が集まっていますので、「美肌」効果がクローズアップされるのでしょう。
※参考文献
田墨恭子、米井嘉一ほか オルニチン摂取による肌質改善効果 アミノ酸研究. 2012; 6(1):43-5.
Uchisawa H et al, Influence of low-temperature processing of the brackish-water bivalve, Corbicula japonica, on the ornithine content of its extract. Biosci Biotechnol Biochem. 68(6):1228-34, 2004.
◆2014年4月3日(木)に日本テレビ系列で放映されました「あのニュースで得する人損する人」の番組内で、菅井先生がコメント出演された後、当院に寄せられた質問の回答をまとめて作成いたしました。