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中央区のお医者さん

2008.11月号
 

感染から身を守るには?

 小児科外来でも、よくお子さんの風邪を、親御さんがもらったり、兄弟間で感染をおこしたり、親御さんの風邪がお子さんにうつったり、日常茶飯事です。
 冬場の風邪シーズン到来前に、感染を防ぐ基本的なことを述べさせていただきます。

 

Q. 「風邪は、他人にうつすとなおる」と言われますが、本当はどんな対処法があるのですか?

  A. 風邪などの感染症から身を守る方法は、(1)感染源の隔離、(2)感染経路の遮断、(3)抵抗力の向上の3つです。
 家族の感染において、(1)感染源の隔離は、現実的ではありませんが、水ぼうそうの子どもが発生した親御さんが、水ぼうそうをやっていない時に、治るまで、ホテルで過ごすなど対処されることがあります。

Q. 感染経路について教えてください。
  A. 感染症には、原因微生物によって、感染経路が異なり、3種類の感染経路があります。空気感染、飛まつ感染、接触感染です。

Q. 空気感染とは?
  A. 空気感染は、咳やくしゃみ、会話などの際に、飛まつとして放出された唾液やたんの成分が乾燥して小粒子(5μm以下)となって長期間浮遊し、同室内だけでなく離れた場所まで広がっていきます。
 感染力が強いので、病院ではN95マスク使用や陰圧換気システムのある部屋での完全な隔離を行います。
 そのようなことは、家庭では現実的ではありませんが、この感染を起こす病気は限られており、結核、水ぼうそう、麻しんの3つが主な病気です。

Q. 飛まつ感染とは?その感染を防ぐには?
  A. 飛まつ感染は、飛まつが目や鼻、口腔の粘膜につくことで感染します。病原体を含む飛まつが小さくなく(5μm以上)、遠くへ拡散しないので、通常1m以内の距離でうつります。
 インフルエンザウイルス、おたふくかぜ、アデノウイルス、マイコプラズマなどです。
 感染を防ぐためには、マスクが有効です。感染しないようにマスクをすることと、感染を拡げないようにマスクをすることの両者が大切になります。
 咳・くしゃみの際には、ティッシュやハンカチなどで口と鼻を押さえ周りの人から顔をそむける「咳エチケット」を守ります。
 使用後のティッシュは、すぐにふたつきのゴミ箱に捨てましょう。
 帰宅後は、うがいをしましょう。
 インフルエンザの流行期など、極力人ごみを避けること、加湿をして部屋を乾燥させない(ウイルスは乾燥に強い)、室内を換気するなど心がけてください。

Q. 接触感染とは?その感染を防ぐには?
  A. 接触感染は、たん、便、口腔、陰部の粘膜に触れることで感染します。
 胃腸炎の原因のロタウイルス、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、とびひの原因菌などです。
 感染を防ぐためには、手洗いが大切です。特に、とぶつや、汚物の処理後には、十分な手洗いをしてください。
 結局、飛まつ感染、接触感染を考慮して、手洗い・うがい・マスクの励行が大事であるということです。

Q. からだの抵抗力を高めるには、どういうことをすればよいのですか?
  A. 当然のことですが、抵抗力の向上については、「休養」と「栄養」がまず大事です。
 疲れ、ストレス、睡眠不足を避けてください。好き嫌いをなくし、バランスのよい食事を取ってください。そして、適度な運動と規則正しい生活を送ってください。
 また、医学的な抵抗力向上の手段として、予防接種があります。
 毎年のインフルエンザワクチン接種や、大人になっても、水ぼうそう、風疹、麻しん、おたふくかぜにかかっていない場合は、大人になってからかかるとどれも重症化しますので、必ずワクチン接種をして、免疫力を高めてください。

 これから、冬場の風邪シーズン到来です。
 基本は、手洗い・うがい・マスク・栄養・休養(及びワクチン接種)であり、これ以上の策は残念ながらございませんが、これらをすることで防ぐことが出来ます。

 なお、恐れられている「新型インフルエンザ」でも、基本は変わりません。新型インフルエンザがどのようなウイルスの型で発生してくるかわかっていない以上、ワクチン(パンデミックワクチン)は、開発されていません。基本的な感染対策と不要不急の外出を避け、対応していきます。

 
小坂先生
小坂 和輝
(こさかかずき)
智弁学園和歌山高校・広島大学を卒業し、聖路加国際病院小児科、東京女子医大循環器小児科学教室を経て、現在中央区月島で小児科専門クリニック(病児・病後児保育室を併設)を開業。中央区医師会理事。抗生物質の適正使用、児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、少年犯罪、メディア・リテラシーについてNPOと連携して取り組む。本人は社会企業家でありたいと望む。小一と3歳の2児の父。趣味は株・飲むこと・走ること。

小坂こども元気クリニックホームページ


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2008年11月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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