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中央区のお医者さん

2008.6月号
 

鼻血について

 鼻いじりの癖の多い子どもにとって、鼻血はよくみかけます。いったん出血をみると、重大に受け止めがちになりますが、正しく処置することで止めることができます。
 「はなぢ」というだけで重大に考える親御さんが多い割には、適切な止血の処置を施せる親御さんは少ないです。大部分の鼻血はきちんと処置がなされれば止血されます。止血に時間がかかったり、繰り返す場合は、耳鼻科を受診し、背景疾患があれば、その治療もきちんと受けるようにしましょう。

 

Q. 鼻血は、とくにお子さんでよく見かけますね。

  A. 鼻の中隔の前の方に毛細血管が集まった部分(キーゼルバッハ部位)があり、多くはその部分から出血することで鼻血が起こります。特に子どもは、無意識のうちにも、よく鼻をいじったりひっかいたりするので、出血します。
  一度出血すると、しばらくの間は鼻を強くかんだくらいでも出血しやすくなります。ちなみに、「のぼせて」鼻血が出ることはありません。

Q. 鼻血が出たら、どう対処すればよいですか?
  A. 鼻血が出たら、座って(頭を心臓より高くする)、頭を少し前かがみにします。綿球やティッシュペーパーを鼻の穴にいれ、鼻の小鼻をつまんで、10分間くらい圧迫し続けます(鼻つまみによる止血)。
 よく、目頭ちかくの鼻の根元を押さえたり、後頭部や首の後ろを叩いたり、冷たいタオルで冷やすのを見かけますが、何の役にも立ちません。

Q. なかなか止まらない場合もありませんか?
  A. 正しく処置をすると、10分間くらいで止血しますが、処置が悪ければ、なかなか、とまりません。特に、つめた綿球は、早めにつめかえたりしていると、ふさがりかけていた傷口がまたあいてしまうので、いつまでたっても血が止まらないことにもなりかねません。
 寝かせたり、頭を後ろに曲げると、鼻血がのどにまわり飲み込んでしまうことになります。血液を飲み込むと気持ちが悪くなり、吐いたりもします。
 なかなか止まらない場合、出血部分が鼻の穴の後方にあり止血しづらい部分であることの可能性が考えられます。
 まれに、血を固まらせるための力が低下している血液の病気や肝臓の病気の場合があります。その場合は、鼻血だけでなく、体の他の部位にも出血の傾向が起こりますので、青あざが体に多く見られたりします。
 10分間圧迫しても止まりが悪い場合、耳鼻科を受診し、鼻血の出血部位を見てもらい、処置をしてもらって下さい。

Q. 止血後の注意点は、何かありますか?
  A. 出血は、血管が損傷されて起こることですので、止血したら傷が治るのを安静に待つことが肝心です。繰り返す鼻血の出血が落ち着き傷がなおるまで2〜4週間かかります。特に、止血直後は、激しい運動、力むこと、鼻をいじることを禁止します。できれば、入浴もさけますが、入る場合でも、ぬるめの風呂に短時間はいることとします。

Q. 鼻血をよく繰り返す子もいますね?
 

A. 鼻血を起こしやすい背景に、鼻の中隔の骨の湾曲、鼻アレルギーや副鼻腔炎、鼻の穴の部分の湿疹があることもあります。特に湿疹があると、子どもはひっかいて頻繁にかさぶたを取り、鼻粘膜を傷つけ鼻出血を繰り返します。背景疾患もきちんと治すことをしましょう。



 
小坂先生
小坂 和輝
(こさかかずき)
智弁学園和歌山高校・広島大学を卒業し、聖路加国際病院小児科、東京女子医大循環器小児科学教室を経て、現在中央区月島で小児科専門クリニック(病児・病後児保育室を併設)を開業。中央区医師会理事。抗生物質の適正使用、児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、少年犯罪、メディア・リテラシーについてNPOと連携して取り組む。本人は社会企業家でありたいと望む。小一と3歳の2児の父。趣味は株・飲むこと・走ること。

小坂こども元気クリニックホームページ


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2008年6月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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