2007.4月号
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Q. おねしょとは? |
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A. おねしょを、医学的には、夜尿症といいます。排尿の自立は、2〜3歳から始まり、5〜6歳で、約8割は自立しています。これは、夜間に分泌される抗利尿ホルモン(尿量を抑えるホルモン)が増加することと、身体発育とともに膀胱の容量が増加するため、年齢と共におねしょは、軽快していきます。これらの排尿を調節する機能が成熟するには、個人差があり、おねしょをする子は出てくるのです。
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Q. おねしょが気になる場合、どうしたらよいですか? |
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A. まずは、おねしょの観察をしてください。
何時ごろおねしょをしたのか、たくさんか少ないかなど、毎日メモして下さい。
その上で、かかりつけの先生にご相談下さい。お子さんのおねしょがどんなタイプか、メモを参考に診断していきます。
おねしょには、その他の原因(糖尿病、腎・尿路系の奇形、尿路感染、神経系の病気など)の場合もあるため、必ず医師を受診して、治療方針を立てましょう。 |
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Q. どのような治療になりますか? |
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A. 治療の基本は、生活指導です。生活指導の原則は、規則正しい生活を心がけると共に、「三ない」すなわち、「あせらない」「おこらない」「起こさない」ことです。
「あせらない」とは、
おねしょをするのは、小学校入学時には約1割、中学校入学時でも約1%はおねしょをします。大きくなるにつれて排尿を調節する機能が成熟し、自然に治りますので、あせらずに待つことが大切です。
「おこらない」とは、
おねしょをした子は、心の中で「しまった」と思っています。そのうえにおこられては、本人の不安が増したり、自信喪失につながります。家族みんなが自分をあたたかく見守ってくれるんだという安心感が大切です。
「起こさない」とは、
発育ざかりの子どもは深い睡眠をとっているのが普通で、その深い睡眠こそが抗利尿ホルモンの分泌増加につながり排尿調節できるようになります。それと共に、睡眠は、全身の成長発達に欠かせません。夜中に起こしておしっこさせるのは、あまりよい方法ではありません。
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Q. 具体的な対処法を教えてください?
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A. かかりつけの先生から、おねしょのタイプを診断された後に、以下のような指導が出されるのが、一般的です。
具体的な対処法)
1.夕食では、飲水とともに果実・塩分摂取を控えます。
2.寝る前は、おしっこをして寝ます。
3.昼間に、排尿をぎりぎりまで我慢する訓練をします。
4.排尿途中で、4-5秒中断する訓練をします。
5.ゆっくり入浴させ、四肢を冷やさず睡眠します。
6.おねしょをしない日に、カレンダーにシールを貼るなどして、本人のやる気を出させます。
あくまでかかりつけの先生といっしょに、あせらずに、治していってください。おねしょは、必ず治ります。
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小坂 和輝
(こさかかずき)
智弁学園和歌山高校・広島大学を卒業し、聖路加国際病院小児科、東京女子医大循環器小児科学教室を経て、現在中央区月島で小児科専門クリニック(病児・病後児保育室を併設)を開業。中央区医師会理事。抗生物質の適正使用、児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、少年犯罪、メディア・リテラシーについてNPOと連携して取り組む。本人は社会企業家でありたいと望む。小一と3歳の2児の父。趣味は株・飲むこと・走ること。
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