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中央区のお医者さん

2005.11月号
 

冬にいつもお腹こわしていませんか?

 一段と寒さがましてきました。風邪をひきやすい時期ですが、吐き気、腹痛、下痢などの症状を中心としたいわゆるお腹の風邪にも罹りやすい時期です。食中毒様の胃腸炎は夏だけではありません。1年を通していろんな病原体によって引き起こされる感染性胃腸炎についてのお話です。

 

1 Q. 症状を教えてください
  A. 病原体の種類にもよりますが、発熱、吐気、腹痛、下痢が多く、発熱だけ先行し、遅れて腹痛、下痢が出現することもあるようです。正確な診断をするために、熱をはかっておいたり、数日前からの食事歴(生ものの摂取歴)、海外渡航歴、ペットなど動物との接触の有無、便の性状などを記録したりしておくとよいでしょう。
2 Q. 原因は何でしょうか?
  A. 細菌、ウイルス、寄生虫が感染性胃腸炎の原因になります。細菌には、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、サルモネラなど、ウイルスにはロタウイルス、ノロウイルス、小型球形ウイルス(SRVS)など、寄生虫にはアメーバ、ランブル鞭毛虫、サイクルスポーラ、クリプトスポリジウムなどが主な病原体となります。感染経路は主に汚染された水、食品、ヒトや動物の排泄物からの経口感染が多いようです。
3 Q. 流行があるのでしょうか?
  A. 感染性胃腸炎の流行は、今までの統計によると例年初冬から増え始め12月頃にピークを認めます。その後は春にもう一度増加して夏まで続くパターンをとるようです。
  夏には食中毒の原因でもある腸炎ビブリオなどの細菌性のものが多いですが、冬から春のピークにはウイルス性、SRVS、ロタウイルスが多くなります。
4 Q. 診断方法はありますか?
  A. 一般的には糞便の細菌検査、ウイルス同定検査、抗原検出など、また血液中の抗体を調べることによって病原体を診断します。
5 Q. どんな治療が必要ですか?
  A. 一般的には対象療法で、整腸剤、吐気止め、抗菌剤などの投与、脱水が強い場合には点滴を行うこともあります。急性期には強い下痢止めは飲まない方がいいようです。排菌が遅れたり、腸閉塞を助長したりすることがあります。ある種の細菌、寄生虫に対しては各々に効く抗菌剤があるので鑑別が必要となります。また2次感染の予防のために、特に乳幼児や高齢者がいらっしゃるご家庭では手洗いと患者との濃厚な接触は避けましょう。

 
林先生
林 剛一
(はやしごういち)
銀座胃腸クリニック院長。順天堂大学医学部卒業。ニューヨーク留学中に内視鏡の世界第一人者である新谷弘実先生から新谷式大腸内視鏡挿入法を伝授される。以来年間、約2千件以上の大腸内視鏡をこなし、早期の胃癌および大腸癌の治療を数多く執刀。
でも、休日はねこといっしょにお昼寝するのが趣味という動物好き。

銀座胃腸クリニックホームページ


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2005年11月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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