ペリーが来航し、時代の流れが大きく変わろうとしていた頃。秋田藩士・古島香織は赴任先の蝦夷地(現北海道)へ向かう船中で、ゆうという女の危難を救った。ゆうは函館奉行所の役人・助川の妻で、夫の赴任先に一子良太郎とともに向うところだった。
宗谷に着いた香織を待っていたのは、幕府の役人と警備を命じられた小藩の藩士との小競り合い。地元の民アイヌとの確執。そして生死に関わるほどの厳しい寒さだった。香織が自ら願ってこの厳しい土地へ来たのは、新妻・菊の「他に好きな男がいる」という思いがけない告白からだった。ゆうもまた、人足やアイヌを人とも思わぬ非常な夫との間に、深い溝を感じ始めていた。香織とゆうは、次第に魅かれあっていく。
一方、香織の親友の運平は、アイヌの娘ショルラに思いを寄せる。二組の男女が織りなす愛の行方は・・・。
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